防衛相の有事海保指揮、来月訓練 自衛隊支援要領決定、非公表も

 政府は28日、防衛相が有事の際、自衛隊法に基づき海上保安庁を指揮下に置く手順を定めた「統制要領」を決定した。海保は住民避難や海上での捜索・救命などを担い、自衛隊を後方支援する。警察機関としての性格は変えない。5月に机上、6月には実動で、武力攻撃事態を想定した海上自衛隊と海保の共同訓練を初めて実施し、実効性を検証し連携を確認する。

 統制要領は閣議や国会に諮らず、自衛隊と海保による内部の申し合わせとして決定した。役割分担など明らかにできない部分があるとして正式な文書は公表せず、概要の発表にとどまった。

 統制は、他国から武力攻撃を受けるか、明白な危険が切迫している武力攻撃事態で、自衛隊に防衛出動が発令されている際に実施。自衛隊と海保の通常の協力では対処が困難など、特別の必要がある場合に限る。閣議決定を経て防衛相が海保の長官を指揮する。

 自衛隊は防衛任務に集中し、海保は住民避難や人命救助などに対応する。戦闘区域での活動は、相手が軍事行動とみなして攻撃してくる可能性があり、想定していないとした。

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