コロナ禍で倒産危機⁉奇跡のV字回復の裏側に迫る|株式会社ジャパンパシフィックマネージメント冨田竜海

ここ数年、新型コロナウイルス感染拡大による営業自粛や行動制限により、幅広い業種・業態が影響を受けました。

感染状況が落ち着いてくるにつれて、少しずつ本来の生活に戻りつつある中で、今後はアフターコロナに適応した企業経営を行うことが重要となってきています。

本日はコロナの影響が特に大きかった北海道有数のリゾート地ニセコで活躍される経営者、株式会社ジャパンパシフィックマネージメント代表取締役の冨田竜海さんに、お話をお伺いしました。

かつて月商2,000万円をあげていた事業を手放し、倒産の危機を乗り越えて会社の再建に成功させたV字回復の裏話、そして今後の夢や目標についてお伺いしました。

(取材日:2023年4月・ライター:ロカプレ編集部!)

ロカロウ

いろいろな事業を展開されていく流れを聞いてきたよ!

株式会社ジャパンパシフィックマネージメント 代表取締役 冨田竜海(とみたたつみ)

1993年茨城県水戸市生まれ。2012年19歳で東京都・吉祥寺にて時計・宝石品を扱う事業を起業。
その後、北海道・ニセコで事業展開を目指し、1年間カナダへ渡航。2014年ニセコエリア・倶知安町にてショットバーの開業を皮切りに、日本料理店・フレンチレストラン・富裕層と寿司職人のマッチングサービスなど観光産業を中心に事業を展開。
新型コロナウイルスによる経営難をきっかけに事業を転換し、現在ではWEBマーケティングやPRマーケティングに関するコンサルティングサービスを行っている。## WEB・PRマーケティングコンサルティング事業とは?

編集部:まずは、現在の事業内容を教えて下さい。

冨田:現在主に中小企業向けのWEBマーケティング、PRマーケティングを中心としたコンサルティング事業を行っています。

編集部:「コンサルティング」とは具体的にどのようなことをされてるのでしょうか。

冨田:近年、最も需要が多いのが、LINE公式アカウントをビジネスに活用したい企業向けの構築・運用コンサルティングですね。それに合わせてTwitterやYouTubeなど他のSNS活用や現場でのオペレーションの提案などもしています。
企業の状況をヒアリングして、課題のあぶり出しから、課題解決に向けた各種施策の提案・戦略設計などを行っています。

編集部:なるほど。確かにSNSって誰かに教えてもらったとかではなく、自己流でやってるところが多いですよね。では、PRマーケティングというのはどういったことをされてるのでしょうか。

冨田:PRマーケティングでは、テレビや雑誌、ラジオ、新聞などメディアへの露出を通じて認知を拡大させたり、リクルートを強化したり、働く方々やその家族の方々のロイヤリティを高めるような戦略を設計するところから、各種メディアへのアプローチを行ったり、記者の方々からの問い合わせ対応まで実務をまるっと請け負っています。

なぜニセコ?成功確率を高めるために日本全国を行脚

編集部:起業から、どういった流れでニセコでビジネスをすることになったんですか?

冨田:一番初めは19歳のときに、東京・吉祥寺で宝石を扱う事業で起業しました。

編集部:宝石商!普通では思いつかない事業ですね。それはあまり上手くいかなかったんですか?

冨田:いえ、そこそこ上手くいったんですが、そのうち何か物足りなさを感じて。というのも、僕が学生時代すごくお世話になった方が、昼間建設会社を経営しながら夜は小さなバーをやってたんですね。その方に凄く憧れて「いつか自分もバーをやりたい」って想いがあったんです。

編集部:夢があったんですね。東京で始めなかったのはなぜですか?

冨田:飲食って競争が激しいじゃないですか。だからどうやったら失敗のリスクを下げられるかな?って考えました。それで、「競合が少ない、初期費用が抑えられる、外国人観光客が多い、1年中売上が見込める」という条件にあった場所を探すために日本全国を回りました。

編集部:店を始めるなら身近な場所で、と考える方も多いと思いますが、冨田さんはそうではなく、成功するための条件を洗い出してそこに合わせて自分が動いたんですね。

冨田:そんなときに、趣味のスノーボードでたまたまニセコという土地に出会って、エリアの持つ魅力というか可能性に惹かれて。特にニセコの中でも倶知安町というスキー場の麓の町にすごく魅力を感じて、ニセコでの開業を決意しました。

編集部:確かにニセコはここのところすごく注目されてます。そこからどのように事業を展開されていったのですか。

2014年開業 GROUND PUB NISEKO

冨田:それで、宝石商の会社をスタッフに譲りました。

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順調なビジネスを譲っちゃうなんて、いきなり急展開!

冨田:その後修行のため、1年間カナダにある世界的リゾートとして有名なウィスラーというところで語学とリゾートビジネスを学んで、21歳の時にニセコで飲食事業(ショットバー)を始めました。

編集部:当時経営していた会社を手放されたのも、飲食事業の開業準備をしっかりと行うためだったんですね。その後は?

冨田:もともと上昇志向が強かったのでどんどん事業展開をしていきたい!という想いがありました。常に次は何をしようか考えていたところ、バーに来ていただいていたお客様から「この町には個室でゆっくり食事ができる店がない」という話を何度も聞いて、「それなら僕が作ろう!」と思って日本料理店を作りました。

2016年開業 割烹肴座 花鯛

冨田:この時に初めて大きな借金をしたのをきっかけに金銭的なマインドブロックが外れて、フレンチレストランなど、もう思いつく限りどんどん展開しました。

2018年開業 TATSUMI RESTAURANT

冨田:そんな中2017年頃、バーによくきていただいていた医療法人を経営するお客様から「一緒に仕事をしないか?」と声をかけられ、売上アップのお手伝いをさせていただいたのが、コンサルタントとしての最初のキャリアです。

編集部:ということは、コロナ禍以前からマーケティングコンサルティングのお仕事もなさっていたんですね。

冨田:そうですね。2018年には富裕層と寿司職人を結ぶマッチングサービスを立ち上げたんですが、そこで得たノウハウも今のWEBマーケティングに通じている部分があります。

2018年開業 SUSHI JAPAN## 月商2,000万円から一転、預金残高が数千円に

編集部:順調に事業を拡大されていた中で突然のコロナウイルスの流行。観光業・飲食業その両方に関わる事業ですから本当に大きな影響があったかと思います。実際、どのような状況でしたか?

冨田:もう悲惨でした。コロナの直前の売上が月2,000万円ちょっとあったんですが、その翌月は60万円くらいまで落ちました。

編集部:桁が2つ違いますよね・・・

冨田:その後、びっくりするくらいの速さでお金が無くなっていって、最終的には会社の預金残高が10,000円を切るところまでいきましたよ。

編集部:それは本当に苦しい状況です・・・どんな対策をとられたんですか?

冨田:まずは赤字の垂れ流しを止めようと思って不採算事業を全て整理しました。バー、日本料理店、フレンチレストラン、その他クリーニングの請負やレンタカーなどもやっていましたがすべてです。本当に辛かった。

編集部:そうですよね、従業員の方もたくさんいらっしゃる・・・そこからどうやって事業を再建させたんですか。

事業再建のキーポイントは現実を受け止めるところから

冨田:まずは、「自分たちに出来ること、出来ないこと」を明確に分けました。

編集部:というと?

冨田:コロナの感染を抑えるとか、自粛ムードや規制を緩和させるとか、行政からのサポートを充実させるとか、そういった自分たちにコントロール出来ないことに期待しても時間のムダだと思ったんです。

まず自分たちに出来ることと、今どんな事が世間から求められているのかを考えました。

編集部:コントロールできることとできないことを「明確に分ける」。言葉としては簡単でも、いざやってみると難しいことですよね。

冨田:次に、今まで普通に提供できていた飲食や観光関連サービスには、現状まったくニーズがないという現実を受け止めました。本当に辛かった。

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コロナ禍を乗り越えてきた冨田さんの言葉、響きます。

冨田:今何が求められているか何日も考えた結果、自分たちと同じように営業ができずに困っているお店に、営業の有無に関わらずオンラインで売上を作れる仕組みを提供できたら喜んでもらえるのでは?と考えました。

それで、元々やっていたコンサルティングとWEBマーケティングのノウハウを活用した事業を開始しました。

編集部:そこで現在に繋がるんですね。飲食事業と、現在のマーケティングコンサルティング事業に共通する点はありますか?

冨田:どのビジネスでも、お客様との信頼関係を築いて商品やサービス提供を通じて相手に喜んでいただくってことに関しては、まったく同じだと思っています。

クライアントの獲得方法について

編集部:飲食事業から、法人向けのビジネスへと変わり、顧客も大きく変わったのではないでしょうか?新たなクライアントとはどのように繋がりましたか?

冨田:まずは、僕が今までビジネスをやってきた中で持っていた繋がりに当たったので、集客にはそこまで苦労はしなかったです。

提案書を書いて、ある程度人間関係が出来ている経営者の方やその方に紹介していただいた方などに提案をして、契約をいただきました。

編集部:これまでの冨田さんの活動が、ここで活かされたんですね。

冨田:あの時ほど人との繋がりを大事にしてきて良かったと思ったことはありません。ただ、どこも予算が限られている中でどうやって結果を出すか本当に試行錯誤しました。

編集部:マーケティングというのは売上をもっと増やしたいと困ってる会社に、先行投資として予算を割いてもらうわけですから、この先の成長が見こめる施策を提案しなければ、ですよね。

冨田:はい、なので改めてマーケティングに関してめちゃくちゃ勉強しました。ノウハウ本を何冊も読んだり、複数のビジネススクールにも通って、有名マーケッターのセミナーなどにも数え切れないくらい参加しました。

編集部:フットワークも軽く、どんどん動いていったんですね!

冨田:優れた取り組みをしている企業があると聞けば、実際にお店まで足を運んでリサーチをしたり。そうやって学んだことを実践してはまた勉強しての繰り返しでしたね。

そのうち少しずつ実績が増えてくるにつれて、ガツガツ営業をしなくても紹介などで会社が回るようになり、昨年の利益額は過去最高を達成しました。
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フルリモートワークならではの課題とは

編集部:見事なV字回復ですね。そういった中で現在抱えている課題はありますか?

冨田:ありがとうございます。今の課題は、チームマネジメントです。現在すべてのスタッフがフルリモートで仕事をしているので、仕事以外の雑談がほとんど出来ていません。コミュニケーション面で、まだまだ工夫が必要だと思っています。

編集部:リモート勤務も一般的になってきたここ数年ですが、全員フルリモートという会社はまだ少ないかもしれません。具体的は、どのようなときに雑談があればいいな?と考えられているのですか?

冨田:例えば顔を合わせて働いていると、業務が立て込んでて空気が重くなってる時には「一旦みんなでご飯に行こう」と言って気分を入れ替えたり、仕事をしながら冗談を言い合ったりする中で相手のことがよくわかったりしますよね。

そういうオフィスでは普通に出来ていたことが出来ない分、どうやったらチーム全体でコミュニケーションを活性化させて、一人一人が仲間意識と共通目標を持って仕事に取り組めるか常に模索しています。

編集部:リモートワークだと、スタッフ同士の主なコミュニケーション手段はチャットですか?

冨田:そうです。なので「今日顔色悪いけど大丈夫?」とか、そういう些細なやり取りがすごく難しいです。

編集部:確かにそういうコミュニケーションって大切ですよね。何か工夫されていることはありますか?

冨田:日常的にはオンラインミーティングのときに、積極的に交流を深めるようにしています。スタッフ全員で経営理念を音読したり、仕事とは全く関係ない小話を話してもらったり。あとは年に数回一箇所に集まって食事をしたり、出張先で見つけた美味しいものを送ったり、地元の北海道グルメなども定期的に送ったりしています。

でもそういったことだけではなく、根本的にもっともっと風通しの良いチームを作っていきたいです。

編集部:働いてる場所がバラバラだと集まるのも大変ですよね。でも出張先から美味しいものが送られてきたら嬉しいな〜。

冨田:普段日常的なコミュニケーションが取りにくい分、一緒に働いてくれるチームのために出来ることは何でもやろうと思っています!

最終的には学校を作りたい!

編集部:では、最後に冨田さんの今後の夢や目標を教えていただけますか。

冨田:株式会社ジャパンパシフィックマネージメントの経営理念は「マーケティングの力で再び日本を世界一に」です。僕たちはまだまだ小さい会社ですが、僕たちのコンサルティング活動によって、地域社会や日本経済の発展に少しでも貢献できたらと思っています。

最終的には年齢やスキルに関係なく希望する誰もが無料もしくは安価でビジネスと道徳が学べる学校のようなものを作る。というのが僕の夢です。

まとめ

ビジネスをやっていると大なり小なり壁にぶち当たることもありますよね。

でも、そんな時には「自分たちに出来ること、出来ないこと」を明確に分けて、とにかく行動するという考え方はあらゆる場面においても同じことが言えそうです。

普段「ピンチをチャンスに」とか「七転び八起き」なんて言葉をよく聞きますが、冨田さんの実体験に基づくお話を聞いてまさにその通りだなと感じました。

取材協力

株式会社ジャパンパシフィックマネージメント 代表取締役 冨田竜海(とみたたつみ)

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