大和市長選で自民の必勝パターン「不全」 推薦候補が敗戦 小泉氏投入でてこ入れ図るも

大和市長選で推薦した小田氏への支持を呼びかける自民党県連の小泉会長(左)=19日、大和駅前

 23日に投開票された大和市長選で、自民党県連が推薦した新人候補が三つどもえの戦いに競り負けた。昨年4月に小泉進次郎氏(衆院11区)が県連会長に就任して以来、国政選挙や首長選で公認、推薦候補の勝利が続いてきたが、破竹の勢いにストップが掛かった格好だ。小泉氏も選挙戦中に大和市に入り、推薦候補のてこ入れを図ったが及ばなかった。神奈川新聞社の出口調査からは「必勝パターン」の機能不全が浮かび上がる。

 「3人の候補者の誰が勝つか分からない大激戦だ。それでも勝ちに行く。皆さんの力が頼りだ」

 選挙戦中盤の19日、小泉氏は大和駅前で推薦した小田博士氏への支持を呼びかけた。演説後には選挙カーの助手席に乗り込み、小田氏とともに市内を遊説。自民県議は「勝てると思っていなければ、会長はここにはいない」と力を込めた。

 市長選は複雑な様相を呈した。当初はともに新人の小田氏と古谷田力氏の一騎打ちとみられたが、不出馬の意向を示していた現職の大木哲氏が告示約2週間前に一転、5選出馬を表明。三つどもえの構図となった。

 「混沌(こんとん)とした状況だからこそ、チャンスがある」

 告示前、自民県連幹部はそう語ったが、地元の党関係者は「現職の出馬を織り込んでいたわけではない」と誤算を明かした。

 大木氏を意識して「多選より新鮮」と訴えた小田氏は2万5千票余りを獲得したが、当選した古谷田氏におよそ3500票差をつけられ次点に泣いた。大木氏も2万1千票余りを得た。小田氏は落選後、1月末の出馬表明による出遅れに加え、「大木氏の出馬がマイナスに働いた点もあった」と唇をかんだ。

 ただ、党のベテランは「最終的には新人同士の競り合いに負けている。構図うんぬんじゃない。力負けだ」との見方を示した。

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