横浜や小田原の沿岸部施設、3年半ぶり復旧 台風で高波被害

リニューアルした西湘パーキングエリア。トイレの屋上から相模湾を一望できる=28日、小田原市国府津

 2019年秋の台風で相次いで高波の被害を受けた横浜、小田原市沿岸部の施設が28日、3年半ぶりに復旧した。それぞれ地盤をかさ上げするなど台風への備えを強化しており、海辺の暮らしを守る役割だけでなく、にぎわいづくりの効果も期待されている。

 19年9月の台風15号(房総半島台風)で高波被害に見舞われた横浜市金沢区の福浦地区では、修復された護岸の上部に遊歩道が完成した。28日の記念式典で地元の市立並木第4小学校の4~6年生約125人や関係者が渡り初めを行った。  

 遊歩道は幅約5メートル、長さ約1キロ。市民の要望を受けて転落防止柵越しに海を一望できるようにした。夜間用の照明もあり、24時間通行可能だ。

 新設した2階建ての休憩所(午前5時~午後11時に利用可能)では、被災直後の状況をパネルで紹介。押し寄せた高波で横転した車の写真などを展示し、10メートル超と推定された高波の威力を伝えている。1階のトイレはいつでも使用できる。

 房総半島台風では、一帯の護岸が相次いで倒壊。海沿いに立地する産業団地が広範囲に浸水し、384社で約250億円の被害が生じた。市は21年度までに福浦、幸浦地区の護岸約2.7キロの修復工事を完了。最大級の高波に備えるため、(1)消波ブロックの設置(2)護岸のかさ上げ(3)防潮堤の整備─という「3重の防護策」を敷いた。

 式典で中野裕也港湾局長は「二度と被害が出ないよう万全な整備ができた。遊歩道を金沢の新たな観光地にしたい」と話した。

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