ホワイトロード県側無料区間、9カ月ぶり開通 中宮温泉「被害取り返す」

新緑の中、9カ月ぶりに開通した白山白川郷ホワイトロードの無料区間=白山市

 白山白川郷ホワイトロードの無料区間(白山市尾添―中宮料金所間)4.5キロが28日、9カ月ぶりに開通した。昨年8月4日の大雨で道路が崩落して以来で、仮設道路で一般車両が通行可能となった。大雨の際に一時孤立した中宮温泉では旅館3軒が営業を再開し、経営者の一人は「昨年の被害を少しずつでも取り返したい」と意気込んだ。

 ホワイトロードは昨夏の大雨で、白山市尾添の起点から約1キロの部分が約80メートルにわたって土石流で崩落した。11月に鉄板の仮設道路が造られ、雪解け以降に安全性を確保し、一般開通にこぎ着けた。

 中宮温泉では28日、木戸旅館、湯宿くろゆり、にしやま旅館が営業を再開した。

 にしやま旅館では西山喜治社長(49)らが館内の清掃やビールなどの搬入に追われた。今月中は日帰り温泉の客を受け入れ、宿泊は5月からとしている。西山社長によると、2月頃から今年の営業について問い合わせが入り始め、大型連休中の宿泊予約はほぼ満室となった。

 ホワイトロードでは2019、20年も土砂崩れが起き、19年は開通日が7月19日にずれ込み、20年は通年で通行止めとなった。21年はコロナ禍で利用客が減り、周辺の観光地にとっては厳しい状況が続いてきた。

 今年はコロナ禍が落ち着き、一番湯を楽しもうと早速客が訪れ、宿の周りには新緑や渓流の風景を楽しむ人たちが見られた。西山社長は「経営状態は大変だが、少しずつでも前に進むしかない。今年こそは平穏であってほしい」と話した。

 ホワイトロードは全長33.3キロで、石川、岐阜両県の有料区間は除雪などの作業を終えた6月中旬頃に開通する予定である。

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