旅客機内“迷惑客”が隣席で激高も「満席フライト」で逃げ場なし… 航空各社はどう対応する?

久しぶりの飛行機にウキウキのはずが...!?(しのっち / PIXTA)

今年のゴールデンウィーク、空の便の予約は国際線で昨年の2倍以上に増えており、国内線もコロナ前(2019年)の7〜8割程度に回復しているという(FNNの報道より)。

旅行や帰省はもちろん、フライトそのものを楽しみにしている人も多いのではないだろうか。しかし満席の機内で、周辺の席に座った乗客と“トラブル”になってしまったら、どうすればよいのだろうか。

ハードクレーマー、現る

飛行機内での乗客同士のトラブルといえば、「騒いでいる子どもを注意しない親がいた」「まぶしかったので窓際席の人にシェードを閉めてほしいとお願いしたら逆ギレされた」「隣の人のいびきがうるさかった」「子どものために窓際席を譲ってほしいと言われた」など、ネット掲示板でも実に多くのエピソードが散見される。

筆者も数年前、旅行で訪れた米シアトルから日本へ帰国する際、隣席の乗客に閉口したことがあった。

中年の外国人男性とみられるその乗客は、離陸直後から眠りについたため機内食が提供されなかった。しばらくして目覚めたのだが、自分にだけ食事が提供されていないことに腹を立てたのか、すぐさま客室乗務員を呼びつけ激高。客室乗務員が「お休みになっていたので」「食事は今からお持ちします」などと丁寧に説明してもまったく耳を貸さず、ややなまりのある英語でひたすらに怒鳴り散らしていた(客室乗務員も英語だったので言葉は間違いなく通じていた)。通路側に座っていた私は文字通り“板挟み”になってしまい、“火の粉”が飛んで来ぬよう祈りながら、身を小さくする他なかったのだ。

結局、その乗客のもとへ機内食が運ばれてきたことで落ち着いたのはつかの間、今度は「飲み物の提供が遅い」「スナックの提供の仕方が気に食わない」「寒い」など、事あるごとに客室乗務員を呼び、毎度声を荒らげて再びクレームをつけ始める始末。このまま約10時間のフライトを乗り切ることはできないと、トイレへ行くふりをしながら客室乗務員に相談すると、閑散期だったこともあり、元の席とは離れた席へ移動させてもらうことができた。

スマホにはフライト中の写真が1枚だけ残されていた。おそらく席を移動した後に撮影したのだろう(弁護士JP編集部)

「乗客同士のトラブル発生したら?」航空各社の回答は

筆者の場合は「座席移動」によって解決されたものの、もしゴールデンウィークのような繁忙期であれば、移動できる座席が残されていないことも十分に考えられる。隣席に“迷惑客”が座った場合の航空会社の対応について、国内主要8社に問い合わせたところ、5社から回答が得られた。

  • 全日本空輸
    個別の対応につきましては、回答を控えさせていただきたく存じます。弊社では、機内の空席状況やお客様の体調など、様々な環境や状態を鑑み、その場に応じて最善のサービスを提供するよう努めております。一方、お客様の立場を利用して著しい迷惑行為をするカスタマーハラスメントが、社会問題となりつつあるなか、今後とも、関係諸機関や定期航空協会の指導のもと適切に対処してまいる所存です。
  • 日本航空
    当社では、すべてのお客さまに快適にお過ごしいただけるよう努めており、また、航空法で禁止されている行為をされているお客さまには毅然とした対応を取らせていただいています。
  • AIRDO
    ご搭乗いただいている全てのお客様に快適にご利用いただけるよう、常日頃より努めておりますが、ご質問にあるような申し出(編注:「周辺の乗客とトラブルになっている」など)をされたお客様や、当該のお客様、運航状況等々、その時の全ての状況により対応は異なりますため、恐縮ではございますが、回答は差し控えさせていただきたく存じます。
  • ソラシドエア
    弊社では、ご搭乗いただいている全てのお客様に快適にご利用いただけるよう常日頃より努めておりますが、お客様への対応はその時々の状況により異なり一概に申し上げることが難しいのが現状でございます。
  • スターフライヤー
    空席があれば隣席、周囲等のお客様を別の座席にご案内します。必要であれば客室乗務員を変える等して、(編注:トラブルを起こしている乗客に対し)注意を継続します。実際には、これまで、複数回注意をして改善されない事象は、ほとんどありませんでした。尚、改善されない場合などは機内の安全阻害行為としての対応を行う可能性もございます。

トラブルを当事者同士でサクッと解決しようとしたはずが、お互いに主張がヒートアップして収拾がつかなくなることは珍しくない。まして、飛行機は何かあっても気軽に降りられるものではなく、ちょっとしたいさかいが思わぬ大騒動に発展することも考えられる。

今回、各社とも具体的な回答は避けたが、困りごとがあれば誠実に対応してくれるだろう。乗客同士でトラブルの“火種”が生まれた場合は、なるべく早めに客室乗務員へ相談するのが賢明だ。

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