【イメージ図】国「唯一の場所」嘉手納基地の防錆施設の建設地決定 嘉手納町長「容認できない」

 【嘉手納】米軍嘉手納基地内の防錆(ぼうせい)整備格納庫の移設計画について、町民生活への影響が懸念されることから沖縄県嘉手納町などが予定地の変更を求めていた件で、防衛省と外務省は28日、米軍が当初の計画通り旧駐機場「パパループ」で建設を進めると町側に伝えた。同地区は住民の居住地に近く、騒音や悪臭、環境問題の懸念がある。国はパパループに建設する必要性と環境対策を強調した。當山宏町長は「(パパループを)唯一の建設場所とすることは容認できない。依然として不安は払拭されていない」と話し、対応を検討するとした。

 沖縄防衛局の小野功雄局長や防衛省の折戸栄介沖縄協力課長らが町役場に當山町長らを訪ね説明した。面談は冒頭のみ公開された。

 防衛省によると、格納庫は幅約175メートル、奥行き約95メートルで、総面積約1万6600平方メートル。防衛省は、建設される格納庫は高さ約30メートルで、別の候補地は滑走路に近く米軍の高さ制限の観点から航空機の安全を確保できないと説明した。面積や実用性の面からも、パパループが唯一の場所とした。周辺への騒音や悪臭を軽減するため、航空機の格納庫への出入りは自走させずけん引すること、防錆作業は格納庫の扉を閉めて行うことなど、米側と運用面の配慮を確認したという。

 近く周辺の文化財調査などに着手し、2024年6月ごろに格納庫の本体工事に着手する予定。28年夏ごろの完成を見込む。町は予定地が住民居住地域に近く悪影響が懸念されることから、建設場所を別の場所にする案を米側に提示していた。日本政府も計画の修正を求め米側と協議していたが、米側は見直しを拒否した。

 當山町長は記者団に「パパループが恒常的に使われ、騒音、悪臭が発生する懸念もある」と指摘した。

(石井恵理菜)

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