スジエビやヘビトンボの増減は? 生物多様性の「宝庫」千種川水系 半世紀続く調査が示す環境変化とは

千種川水系の水生生物調査のデータを分析して発表した田口恭子さん(右)と平瀬由昴さん=千種高校

 千種高校(兵庫県宍粟市千種町)自然科学同好会の部員が、県南西部の清流千種川水系で、流域住民らが50年間続ける水生生物調査のデータを分析した。水質指標で少し汚い水にすむスジエビは中・下流に50年前から調査期間を通して生息し、増加傾向が最も顕著だった。きれいな水にすむヘビトンボは全域に生息していたが、期間後半に採取されなくなった場所があり、減少傾向が最も強かった。(坂本 勝)

 顧問の筏(いかだ)泰介教諭(42)が指導し、田口恭子さん(17)と平瀬由昴(ゆたか)さん(17)が2年時だった2022年度、1973~2021年の49年間のデータを調べた。パソコンに入力したデータは先輩の分も含め、約2万7千件に及ぶ。水生生物の増減傾向と、その確かさを分析し、環境の変化を考察した。今年2月には、人と自然の博物館(同県三田市)で環境や自然調査の発表会「共生のひろば」で説明した。

 スジエビの次に増加傾向が大きかったのは少し汚い水にすむイシマキガイ。90年代後半ごろまでは中流で多く採取されたが、2000年代に入ると下流に多く、生息域が中流から下流に変化したとみられる。一方、ヘビトンボの次に減少傾向が強かったのはナベブタムシだった。90年代ごろまでは全域に生息していたが、2000年代になると下流では捕れなくなった。さらに09年の県西・北部豪雨により、生息場所を失ったのではないかと推測した。

 平瀬さんは「上流から下流まで、生物の多様性がある千種川を守っていきたい」と話し、田口さんは「身近な千種川のことを新たに知り、学ぶことが多かった」と振り返った。

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