【高校野球春季神奈川県大会】慶応・渡辺千が3戦連発 大技小技で毎回得点

【慶応―藤嶺藤沢】3回に左前適時打を放ち笑顔の渡辺憩=サーティーフォー保土ケ谷(立石 祐志写す)

◆慶応9-2藤嶺藤沢(7回コールド)

 吹き荒れる強風を、順風にする力がある。慶応はしぶとい安打で主導権を奪い、四回からは一発攻勢。毎回得点のコールドゲームを大技小技のコントラストで描いた。

 序盤に際立ったのは粘り強さ。初回2死から福井が右前に落とす二塁打で先制すると三回には2死無走者から清原が二塁打でチャンスメーク。ヒットエンドランを仕掛けた渡辺憩の適時打に、暴投も絡みリードを4点に広げた。「2死からの攻防も一つのテーマ。渋い当たりでも得点できたのは良かった」と森林貴彦監督(49)。中盤に加点できなかった4回戦・向上戦の反省を1週間で修正してみせた。

 仕上げは成長の春を謳歌(おうか)する3番打者だ。8―2の六回無死。渡辺千は低めの直球を迷いなく振り切り、打った瞬間にそれと分かる打球が左翼芝生席を悠々と越えた。「軸足を意識して、下半身にしっかり体重を乗せられている」。3戦連発の通算12号は、向上戦での頭部死球による周囲の不安を一掃する一発にもなった。

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