同一大会2年連続は3人目 石川遼「こんなにホールインワンする人生とは…」

人生8回目のホールインワン(撮影/中野義昌)

◇国内男子◇中日クラウンズ 3日目(29日)◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557yd(パー70)

ピンまでは実測171ydの4番(パー3)に立つと、右からの風で黄色いフラッグがはためいていた。石川遼が8Iで放った、ほぼストレートのボールは強風で流されてドローに近い軌道を描いた。「狙ったところより1ydくらい左には落ちているんですけど、それって、ほとんど狙ったところ(笑)」。左ピンの右手前、キャリー162ydという縦の距離感はイメージ通り。そのまま転がってカップに吸い込まれた。

ツアー以外での2回を含め、人生8回目のエース。和合では昨年大会3日目の7番(パー3)に続く2年連続の達成だった。記録が残る1985年以降、同一大会での2年連続は1989&90年「ダイワKBCオーガスタ」の安田春雄、2003&04年「三井住友VISA太平洋マスターズ」の尾崎直道に続く3人目。「プライベートでは相変わらず少ないですけど、こんなにホールインワンするゴルフ人生なんて思ってないですからね」と笑うしかなかった。

ボールはギャラリーにプレゼント(撮影/中野義昌)

「このコースで一番難しいパー3と言っても過言じゃない」という4番で決めたことも、自ら驚きを隠せない。「『グリーンに乗ればいいよね』っていうパー3はよくあるけど、4番は『乗ったら最高だよね』って感じ。“逃げ場”がないから、4日間ともグリーンに乗ったら100点満点」と表現する。左右にアゴの高いガードバンカーが口を開け、厄介なショートサイドに外して左足下がりなど絶望的なライに止まったときは大トラブルに直結する。

そんなホールで見せた会心の一打。記念すべきボールも「いつもホールインワンはギャラリーの方に投げると決めているので…」と惜しげもなくプレゼント。フワッと投げたボールがワンバウンドしてロープ際で観戦していたギャラリーの手に優しく収まった。「そこの“距離感”も出てるのかって。神がかっていましたね」とリップサービスで笑わせた。

出だし4ホールで4つ伸ばした後は一進一退の展開。12番ではラフからのセカンドを打った直後、鳥が目の前を横切り「かすったような音が聞こえた気がした。(同組の中島)啓太も『いま当たったっぽくないですか?』って」と苦笑いで振り返る珍しいシーンもあった中、最終18番で3mのバーディパットを沈めて小さくこぶしを握った。

「読んだところに(ボールが)出たし、思った通りに転がってくれた」という納得のアクション。「67」で通算5アンダーは首位と6打差につけ、「バックナインで、可能性がある位置でプレーしたい」と力を込めた。最終日「58」を出した2010年以来の和合制覇へ、大逆転を狙わない理由はない。(愛知県東郷町/亀山泰宏)

バーディ締めに小さくガッツポーズ(撮影/中野義昌)

<石川遼のツアーでのホールインワン>
2010年「パナソニックオープン」2R/6番(187yd)7I
2011年「三井住友VISA太平洋マスターズ」3R/17番(228yd)4I
※2013年「プエルトリコオープン」3R/8番(185yd)6I
※2015年「クイッケンローンズナショナル」1R/4番(178yd)8I
2022年「中日クラウンズ」3R /7番(181yd)8I
2023年「中日クラウンズ」3R /4番(171yd)8I
※はPGAツアー

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