「霞ケ浦のダイヤ」に磨き シラウオ鮮度向上 茨城県、新技術普及へ

透明感あるシラウオ(霞ケ浦北浦水産振興協議会提供)

茨城県は霞ケ浦・北浦特産のシラウオのブランド力アップに乗り出す。全漁獲量が減少傾向にある中、県水産試験場(ひたちなか市)が開発した鮮度保持の新技術を漁業者に広く普及させる。食感や透明感を向上させ、「霞ケ浦のダイヤ」に磨きをかける。

シラウオは、霞ケ浦・北浦で採れる代表的な魚の一種。2021年の漁獲量は年間153トンで、全国1位の青森県に次ぐ存在だ。その透明感から、霞ケ浦のダイヤモンドと呼ばれ、県漁政課は「ブランド力アップのけん引役としたい」と期待する。

県水産試験場は2018年から4年かけ、シラウオの鮮度保持を高める技術を開発した。県は漁業者に広めようと、講習会を21年以降、年1回開き、漁獲後の処理や保存の方法などを伝えている。本年度、さらに多くの漁業者に参加してもらおうと、講習会の回数を増やす予定。

新技術の普及により、加工や市場への出荷を漁業者が自らできるよう、生産体制を構築する。商品化に当たっては、漁業者らでつくる「生産者協議会」を新たに設け、商品の規格などを決めていく。

シラウオの価格は産地によって大きく異なる。1キロ当たりで見ると、茨城県産が2500円なのに対し、島根県宍道湖産は最高価格3万円と10倍以上の開きがある。

県は市場調査を行い、他県産の価格や1匹当たりの大きさ、1パックの量などを確かめ、「高価格帯のシラウオを手本にして、高く売れる秘けつを探る」(同課)。調査結果は漁業者に提供する。

霞ケ浦・北浦の全体の漁獲量は減少傾向にある。1978年は年間約5100トンだったのに対し、21年は約220トンにまで落ち込んでいる。特にワカサギやテナガエビの減少が激しい。

同課の担当者は「不漁が続く中、漁業者の所得向上を目指す」と話し、新たな生産体制の構築を進める。

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