岩佐歩夢、ランキング3位に後退。フェラーリ育成の17歳ベアマンが連勝飾る【FIA F2第4戦 レース2】

 4月30日、2023年FIA F2の第4戦バクーのフィーチャーレース(決勝レース2)が、アゼルバイジャンのバクー市街地サーキットで開催され、フェラーリ育成のオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング)がポール・トゥ・ウインで今季2勝目を飾った。レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)は13位無得点となり、ドライバーズランキング3位に後退した。

 第2戦決勝レース2のグリッドは、28日に行われた予選結果順で決定され、最速タイムをマークしたベアマンがポールシッターに。そしてフロントロウ2番手にエンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン/レッドブル育成)が続いた。

 2列目の3番グリッドからのランキング3位のテオ・プルシェール(ARTグランプリ/ザウバー育成)、4番グリッドにランキング2位のフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)、5番グリッドにデニス・ハウガー、6番グリッドにユアン・ダルバラと、MPモータースポーツの2台が3列目に並んだ。岩佐は17番グリッドから、ランキングトップを死守するべく巻き返しの一戦を迎えた。

 曇り空のもと、フォーメーションラップ直前の計測で気温21.6度、路面温度31.5度というコンディションに。タイヤ交換義務を有する周回数29周の決勝レース2はスタートを迎えた。後方スタートの岩佐とアイザック・ハジャル(ハイテック・パルスエイト)はミディアム、そのほかがスーパーソフトでのスタートとなった。

2023年FIA F2第4戦バクー 決勝レース2のスタート

 ポールスタートのベアマンがホールショットを守ってターン1を通過。他車もアクシデントを嫌ってか、極端なまでの接近戦は展開せず。各車一定の間合いを確保しながらオープニングラップを終えた。一方、岩佐はクレモン・ノバラック(トライデント)、ロイ・ニッサニー(PHMレーシング・バイ・チャロウズ)にかわされ19番手までポジションを下げる。

 2周目のターン1でプルシェールがフィッティパルディに仕掛ける。ここでのオーバーテイクはかなわなかったがプルシェールはDRSも使用し、ターン3進入でフィッティパルディを攻略し2番手に浮上する。プルシェールの勢いは続き、3周目のターン1でベアマンを攻略。ランキングトップ浮上するべく、プルシェールはプッシュをみせる。

2023年FIA F2第4戦バクー オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング)をかわすテオ・プルシェール(ARTグランプリ)

 一方、ミディアムタイヤスタートの岩佐は4周目の時点でブラッド・ベナビデス(PHMレーシング・バイ・チャロウズ)にもかわされ21番手まで後退。

 ただ、ホームストレートでDRSを使用したベアマンが4周目のターン1でプルシェールのイン側に飛び込み、首位の座を取り戻す。

 ふたたびトップに浮上したベアマンが猛プッシュをみせ、5周目にはプルシェールとのギャップを1.3秒まで広げた。トップ5が数珠繋ぎとなり、6番手以下を引き離しトップ集団を形成するが、トップ5内の車間も広がりを見せる。そんななか、2番手プルシェールに3番手フィッティパルディが徐々に接近する。

2023年FIA F2第4戦バクー テオ・プルシェール(ARTグランプリ)

 真っ先にタイヤ交換に臨んだのは4番手ベスティを筆頭に6番手のダルバラ、13番手のアーサー・ルクレール(ダムス)ら5台で、6周目終わりにピットイン。一方、ベアマンらスーパーソフトを履く上位勢も1分56秒台までペースが落ちる。

 続けて、3番手フィッティパルディ、5番手ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ)、ジャック・クロフォード(ハイテック・パルスエイト)は7周目終わりにピットイン。3台はベスティの前でコースに復帰。そして8周目終わりにトップのベアマン、2番手プルシェールがピットストップを敢行。2台はフィッティパルディの前でコースに復帰することがかなった。上位勢がピットを終わってみれば、もっとも早めにピットストップを敢行したベスティが実質7番手まで後退する結果に。

 9周目、ベナビデスがターン4のエスケープゾーンに。ベナビデスはコース復帰を図ろうとするも、その際にフロントウイングをウォールにぶつけてしまい、ベナビデスはマシンを降りてしまう。これによりバーチャルセーフティカー(SC)が導入される。

 11周目にVSC解除されたが、VSC中の手順違反があったとして岩佐に5秒のタイムペナルティが課せられる。岩佐は同じくミディアムスタートのハジャルと同じく、レース後半までピットストップを遅らせる作戦。そんななか、13周目にベスティがハウガーを攻略し、実質の6番手に。さらにベスティは14周目のターン1でクッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)をかわし実質の5番手に浮上する。

 トップ争いを展開するベアマンとプルシェールだが、レースが折り返しを迎えた段階では勢いはベアマンにあった。ベアマンは15周目、16周目とその時点でのファステストを更新しつつ、21周時点で2.1秒、23周時点で2.8秒までその差を広げ、プルシェールにDRSを使わせない。

2023年FIA F2第4戦バクー オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング)

 レース終盤の24周目、フィッティパルディがターン2でプルシェールに仕掛けた。ターン3までサイド・バイ・サイド並走しつつ、ターン4でフィッティパルディが先行し、実質の2番手に浮上する。

 24周目終わりにハジャルがピットイン。ただ右リヤタイヤの交換でタイムをロスし、8番手でコースに復帰。岩佐は25周目終わりにピットイン。5秒のタイムペナルティがあるものの、チームメイトのルクレールの背後14番手でコースに復帰する。

 終盤、トップのベアマンが4秒以上のリードを見せるなか、26周目には2番手フィッティパルディから3番手プルシェール、4番手マルタンスまでの3台が2秒以内という僅差でレースを続けるも順位が変わるまでには至らず。29周目を終え、ベアマンがトップチェッカーを受け、ポール・トゥ・ウインで今季2勝目を連勝で飾った。

 2位にフィッティパルディ、3位にプルシェールが続いた。岩佐は14番手でチェッカーを受けたが、ダルバラが10秒のタイムペナルティを受けたことにより、13位となった。

 なお、第4戦バクーのフィーチャーレース(決勝レース2)終了時点で、ドライバーズランキングはプルシェールが65ポイントでトップに浮上。2位に60ポイントのベスティ、そして3位に58ポイントの岩佐というオーダーに変わっている

 次戦となる第5戦イモラは、5月19日〜21日に、イタリアのイモラ・サーキット(正式名称:アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ)で開催される。

■2023年FIA F2第4戦バクー レース2暫定結果

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 8 O.ベアマン プレマ・レーシング 57:23.163

2 4 E.フィッティパルディ ロダン・カーリン 2.315

3 5 T.プルシェール ARTグランプリ 2.607

4 6 V.マルタンス ARTグランプリ 3.811

5 7 F.ベスティ プレマ・レーシング 15.223

6 24 K.マイニ カンポス・レーシング 15.792

7 1 D.ハウガー MPモータースポーツ 17.301

8 10 I.ハジャル ハイテック・パルスエイト 19.576

9 22 R.フェルシュフォー ファン・アメルスフォールト・レーシング 26.869

10 9 J.クロフォード ハイテック・パルスエイト 27.541

11 12 A.ルクレール ダムス 29.695

12 3 Z.マロニー ロダン・カーリン 30.390

13 11 岩佐歩夢 ダムス 32.806

14 23 J.コレア ファン・アメルスフォールト・レーシング 39.092

15 2 J.ダルバラ MPモータースポーツ 39.243

16 14 J.ドゥーハン インビクタ・ビルトゥジ・レーシング 40.017

17 21 C.ノバラック トライデント 40.007

18 20 R.スタネ トライデント 42.023

19 16 R.ニッサニー PHMレーシング・バイ・チャロウズ 53.202

20 15 A.コルデール インビクタ・ビルトゥジ・レーシング 57.858

21 25 R.ボシュング カンポス・レーシング 61.267

– 17 B.ベナビデス PHMレーシング・バイ・チャロウズ DNF

・ファステスト:アイザック・ハジャル(ハイテック・パルスエイト) 1分53秒478(27/29Laps)
・ペナルティ:ユアン・ダルバラ(MPモータースポーツ):危険なコース復帰により10秒のタイムペナルティ

2023年FIA F2第4戦バクー オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング)
2023年FIA F2第4戦バクー エンツォ・フィッティパルディ(ロダン・カーリン)
2023年FIA F2第4戦バクー テオ・プルシェール(ARTグランプリ)
2023年FIA F2第4戦バクー 岩佐歩夢(ダムス)

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