鎌倉の流鏑馬を徹底解説!いつ開催?場所や流派は?鎌倉まつりもレポート!

鎌倉時代から続く圧巻の伝統武芸である「流鏑馬」。武者姿の射手が颯爽と馬に跨り的を射抜く大迫力の姿は、観客の驚嘆と歓声を大きく巻き起こります。

ここでは鎌倉で開催される「流鏑馬」は、いつ開催されるの?場所や見どころなど、深掘りしてご紹介します!

かまにゃん流鏑馬は、歴史絵巻さながらの迫力だにゃん!## 鎌倉の流鏑馬はいつ開催?場所や流派を解説!

鎌倉の流鏑馬の日程

鎌倉では春と秋、年3回流鏑馬が開催されます。

4月:鎌倉まつり(観光協会主催)

9月:例大祭(鶴岡八幡宮主催)

10月:崇敬者大祭(鶴岡八幡宮主催)

コロナ禍で開催を見合わせていましたが、2023年の鎌倉まつりで被災地復興支援として4年ぶりに開催されました。※秋の流鏑馬はまだ開催は決定していません。

春は鎌倉観光協会が主催で鎌倉まつりの一環として開催され、流派は武田流です。一方秋は鶴岡八幡宮が主催し、流派は小笠原流となります。

おとなり藤沢の片瀬海岸東浜の「湘南江の島春まつり」でも流鏑馬(武田流)が開催されます。こちらでは江ノ島にも参拝したと伝わる徳川家康を大将とした武者行列も開催され、海と江ノ島をバックに迫力のある流鏑馬が楽しめます。

流鏑馬の開催場所

鎌倉で開催される流鏑馬の開催場所は、全て鶴岡八幡宮境内の造られる特設会場で行われます。

小笠原流と武田流の違い

小笠原流と武田流は元々は同じ清和天皇に仕えてきたのですが、小笠原流は鎌倉時代から江戸時代にかけて将軍家に、武田流は江戸時代から細川家につかえていました。

仕えた家が異なることから、伝える流鏑馬の様子が異なったようです。細かくいろいろと作法の違いがあるようですが、小笠原流は板的を使用、武田流は紙で作った花的を使用しています。

流鏑馬の混雑状況

流鏑馬は毎年混雑しています。後ろの方だと見えないくらいだったそうですが、2023年はチケット制となっており600人限定で開催されました。

席が決まっていたので混雑して見えないということはありませんが、鶴岡八幡宮の一般の参拝客も含めると境内はとても混雑していました。

鎌倉の流鏑馬 2023年申し込み方法

鎌倉まつりの流鏑馬は、復興支援義援のリストバンド購入者のみ観覧することができました(1席3,000円で限定600本)。秋の流鏑馬はまだ開催が決定していませんので、申し込み方法はまだ発表になっていません。わかり次第、こちらにアップしますね。

鎌倉の流鏑馬の歴史

流鏑馬の語源は「矢馳で馬:やばせめ」が転じたものと言われ、文字通り馬を駆って矢をいる意味が込められています。

平安時代、五十九代宇多天皇は「弓馬の礼法」を制定させ、後に源氏が代々相伝することとなり、源義家の弟・新羅三郎義光の子孫である武田・小笠原両家に伝えられました。

『吾妻鏡』のくだりでは、平家に勝利した源頼朝は、源氏の氏神である八幡宮の神前にかねてから関心の深かった流鏑馬を奉納するため、その故事をいろいろと調べ、もとは宮廷武士で弓馬の達人でもあった歌人・西行法師にも流鏑馬神事について尋ねています。

こうして頼朝が文治3年(1187年)8月15日に鶴岡八幡宮の放生会に奉納した流鏑馬が鎌倉の流鏑馬神事の始まりです。

引用:鎌倉観光協会公式HP

かまにゃん鎌倉の流鏑馬は、源頼朝の時代から800年続く伝統行事です!## 鎌倉の流鏑馬体験はできる?練習場所は?

流鏑馬体験はイベントのみ

不定期で流鏑馬を体験できるイベントなどが開催されることがあるようですが、定期的に流鏑馬体験ができる場所は鎌倉にはないようです。イベントも現在はコロナ禍ということもあり、開催されていないようです。

深沢や各地で練習している

公益社団法人大日本弓馬会が運営する「鎌倉教場」では、深沢事業用地(住所は梶原)を利用し練習場として使われているようです。入門には審査があり、体験のみは行っていません。

スポーツとしてと伝統芸能としての流鏑馬は違います。流鏑馬をただ馬に乗って的を射るという考えの方は、入門をお断りされるそうです。

そして流派によって練習場は異なるそうです。あまり知られていませんが、三浦など各地に流鏑馬の練習場はあるそうです。

かまにゃん鎌倉では小笠原流と武田流が有名ですが、他にも色々流派があります

ひとみここからは実際に、鎌倉まつりで流鏑馬を見てきた様子をレポートします## 鎌倉まつりの流鏑馬をレポート!

初夏を思わせる晴れやかな季節、鶴岡八幡宮にいざ出陣!

若宮大路は鎌倉を代表する桜並木として有名ですが、鎌倉まつりが開催される4月は桜は青々とした葉に変わり、足元にはツツジの花が咲き乱れていました。

段葛の幅が、実は一の鳥居に向かってどんどん狭くなっているのはご存じですか?鶴岡八幡宮を際立たせるための集中線のような効果を狙っているそうですよ。

春を告げる令和5年の「鎌倉まつり」は、被災地復興支援として4年ぶりに開催されました。

会場は観覧の方や参拝の方でとても賑わっています。今回は600名の事前予約制となり、観覧権がわりのリストバンドを手に各々の席へ向かわれていました。

受付を済ませると、すぐに流鏑馬の馬場を横切ります。流鏑馬のために平された全長約250mの馬場はふかふかで、そして真っ直ぐに境内を東西に横切っています。

間もなくここを、狩装束に身を包んだ射手たちが颯爽と馬と駆け抜けながら、3箇所に設置された的を射抜いて行くんですね。期待に胸が高まります。

舞殿では、儀式が執り行われていました

鶴岡八幡宮の下拝殿である舞殿は、静御前が義経を慕う唄を歌いながら舞を待ったという言い伝えが残る場所です。多くの観光客が見守る中、儀式は粛々と進んでいました。

いよいよ流鏑馬の始まりです!

今回開催される武田流流鏑馬は、平安時代に制定された「弓馬の礼法」を源氏が代々相伝したものを後年、武田氏が武田家嫡流として「流鏑馬射法」として伝え、それをもとに武田流流鏑馬となったそうです。

馬場の3か所に設置された的の後ろには花が添えられています。これには悲しい逸話があり、的を外した射手がそれを恥、自害したことから以降は花を添え、花にあたっても的中とするようになったそうです。

また、武田流流鏑馬では神事の性格が強い「奉射」と競技の性格が強い「競射」の二つがあり、「奉射」では菱形に丸の的、「競射」では小さな陶器を2枚合わせた的となり、的中して割れた際には色とりどりの紙片が舞う凝ったものとなっています。

「序の太鼓」を合図に射手と諸役が列をなして馬場を行き交います。豪華さの中に実用性を兼ね備えた狩装束はとても美しく、見るものを惹きつけます。

萎烏帽子と呼ばれる帽子をかぶり手には革手袋をはめ、腰に行縢という鹿の夏毛革の覆いをつけています。また腰に太刀、腰刀を携え、箙と呼ばれる矢を入れるものを背負っています。

諸役が列をなして向かう姿はとても厳かな雰囲気を醸し出していました。

会場が一気に凛とした空気に包まれます。

射手が駆け抜る!

奉行の「破の太鼓」を合図に馬場本と馬場末に配置された扇方が扇を高く上げると奉射が始まります。さあ、いよいよ流鏑馬のメインイベントの開始です!

射手は扇を合図に、馬場本から駆け出します。

わずか250mあまりの距離に3つの的を射抜く、まさに神業です!一つ目、二つ目のの的を的中させ、射手はものすごい速さで3つ目の的に迫ってきます。こんなにも速いのか!と驚くばかりです。

的を射抜いた「的中!」の声と太鼓の音、歓声がが遠くから聞こえてきます。そして目の前で3つ目の的を射抜くと大きな歓声と共に大きな拍手が沸き起こりました。

疾走する馬が跳ね上げる土が周囲に飛び散り、まさに砂被り状態。流鏑馬の迫力を目や耳だけでなく、肌でも感じることができました。

こんなに馬が激しく疾走しているのに、射手の姿勢は全くブレません。

乗馬技術であり、武術であることを源流とする流鏑馬。命をかけた戦いの場で正確に射抜くために姿勢の安定は必須であり、そのための技術を磨き上げた結果が流鏑馬に表れています。

かまにゃん”人馬一体”なんだにゃん

全ての射手が騎射を終えると、待機していた馬場末から並んで矢を受け取り、馬場本へ戻っていきます。

流鏑馬騎射は次のスケージュールで執り行われました。
【奉射】
一の組 5騎 式の的・板的
二の組 5騎 式の的・板的
【競射】
成績上位 4騎 土器的
決定戦 2騎 土器的

クライマックスは競射決定戦!

いよいよクライマックスです。

競射上位2名による決定戦が行われました。
競射では土器的と呼ばれる小さな陶器製のマトが使われますが、直径15cmほどの小さな的を、疾走する馬上から的中させるのは至難の業。流鏑馬の名手といえども易々と的中できるわけではありません。

的中をすると大きな歓声と拍手が湧き上がり、外してしまうと、あともうすこしで的中…という惜しさと残念さから観客席から吐息がもれます。

そんなプレッシャーと緊張感をものともせずに挑み続ける射手の一挙一動に観客の目が注がれます。

そして最後の一矢が目の前の的にとうとう的中!
一際大きな歓声が会場に沸き起こり、流鏑馬騎射が終了しました。

大興奮の流鏑馬

会場を驚嘆の渦に巻き込んだ流鏑馬も最後の儀式を迎えました。

競射決定戦を終え、狩装束に身を包んだ射手たちが凱陣の儀を行うために舞殿へ向かうその姿には、まだ緊張が冷めやらぬ様子が伺えました。

約2時間半にわたる流鏑馬は、最後の儀式で終わりを迎えようとしています。

舞殿では観客が見守る中、厳粛は空気の中で射手たちの技量と成績を讃え奉納していたのでしょう。暗い殿内に差し込む夕陽が、射手の狩装束を輝かせていたのがとても印象的でした。

流鏑馬は古都鎌倉で執り行われる歴史絵巻

鎌倉時代から続く伝統武芸である流鏑馬は、古都鎌倉の春を告げる鎌倉まつりのメインイベントとして、歴史と文化を感じられる伝統武芸として、鎌倉だけでなく全国に広く知られるイベントです。

射手や諸役の衣装や物腰、儀式などリアルな歴史絵巻を見ているかのような、そんな錯覚さえ覚えてしまいます。

鎌倉に訪れる観光の方も地元の方も、鎌倉の文化や歴史を再発見できるイベントとして是非お楽しみください。

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