復元完了の千足古墳を全面公開 岡山、装飾石室に歴史ファン注目

千足古墳の装飾石室を見学しようと、トンネル(左上)の前に列をなす人たち

 国史跡・造山古墳群(岡山市北区新庄下)の一つで、復元整備が完了した千足古墳の全面公開が30日始まった。一帯では同古墳群の魅力を発信する「造山古墳まつり」も開かれ、多くの歴史ファンが詰めかけ“吉備の至宝”を体感していた。

 千足古墳は造山古墳に従う陪塚(ばいちょう)で、5世紀前半に築かれた墳長81メートルの前方後円墳。岡山市教委が14年がかりで保護・復元に取り組み、風雨で削られた墳丘や傷んだ石室を再生し、1600年前の姿を取り戻した。

 訪れたファンの注目を集めたのは、後円部に設けたトンネルから見学できる装飾石室。本州では珍しい九州系のドーム状の構造や、古代文様・直弧文(ちょっこもん)が刻まれた石材(複製)に間近で見入っていた。

 会社員男性(36)=倉敷市=は「造山古墳群の主が誇った力を実感した」、小4の長女(9)は「赤い石で造られた石室がかっこいい」と喜んでいた。

 まつりの主会場となった岡山市造山古墳ビジターセンターでは、古墳ラップバトルや埴輪(はにわ)デザインコンテストなど多彩な催しが繰り広げられた。

 千足古墳の石室は、火曜~日曜の午前10時~午後3時に見学できる。

美しい墳丘が復元され、見学者でにぎわった千足古墳
千足古墳内部の貴重な装飾石室に見入る人たち

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