馬毛島・自衛隊基地 賛成60% 「国防の観点から必要」多数占める 反対は33% 地元・種子島は賛否拮抗 南日本新聞社・意識調査

〈資料〉馬毛島の全景。画面奥は種子島本島=西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)

 南日本新聞社は鹿児島県内の約1000人を対象に、安全保障問題の意識調査を実施した。米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う西之表市馬毛島の自衛隊基地整備について、賛成と答えたのは60.3%で、反対の33.1%を27.2ポイント上回った。賛成の理由は「国防の観点から必要」が77.0%で最多だった。

 馬毛島整備で政府は1月、基地本体工事に着手した。22、23年度予算に整備関連費計7654億円(契約ベース)を計上し、異例のペースで工事を急いでいる。中国やロシア、北朝鮮の軍事的活発化を背景に、県民に一定の理解が広がっているとみられる。

 一方、地元の種子島1市2町では賛成、反対がともに50.0%と並び、拮抗(きっこう)した。不安が根強いこともうかがえる。

 意識調査は4月15、16日に行い、1062人から回答を得た。2022年まで毎年実施した世論調査とは方法が異なるため、単純比較できないが、前回22年は反対が48.5%で、賛成の46.6%を1.9ポイント上回っていた。

 今回の回答は、計画に「賛成」39.1%、「どちらかといえば賛成」21.2%、「どちらかといえば反対」18.1%、「反対」15.0%、「わからない」6.7%だった。

 賛成の理由は「国防の観点」のほか、「地域活性化や経済効果が期待できる」15.6%、「すでに着工し整備が進んでいる」3.6%、「その他」3.8%。

 反対の理由は「戦争につながる恐れがある施設」が最多の62.1%、「自然環境を守りたい」19.1%、「騒音や事故が心配」13.1%だった。

 賛否を男女別でみると、男性は賛成71.8%、反対25.8%で賛成多数だったのに対し、女性は賛成42.0%、反対45.7%で反対が上回った。「わからない」とする割合も女性は12.3%で、男性の2.4%より多かった。

 年代別では、賛成の割合は30代が72.4%で最も多く、40代71.3%、50代63.3%の順。反対は70代以上36.8%、60代35.2%、50代32.0%と続いた。サンプル数の少ない18、19歳は賛成3割、反対6割だった。

【表】馬毛島への米軍機訓練を含む自衛隊整備計画への賛否と、その理由が分かるグラフ
【地図】馬毛島の場所

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