鈴木優磨はやっぱり点を取ってこそ最高だ

激動のシーズンを過ごしている鹿島アントラーズ。

昨シーズン途中、スイス人のレネ・ヴァイラー監督を早期解任し、コーチを務めていたクラブOBの岩政大樹監督が昇格したが以降なかなか成績が上がらない。

岩政監督といえば戦術家として知られ、引退後の解説は言語化に傾倒する若い世代を中心に支持されていた。

しかし理想と現実は違ったようでヴィッセル神戸に1-5と大敗した際には、熱狂的なことで知られる鹿島サポーターの怒りは頂点にまで達し、解任論も飛び交った。

ただここ2試合は連勝とやや上り調子で、29日に行われたガンバ大阪との試合ではホームで4-0と大勝した。

後半に仲間隼斗が先制ゴールを奪うと、鈴木優磨が3試合連続ゴールとなる追加点。終盤にはベテラン土居聖真が立て続けに2ゴールを奪い、ガンバを意気消沈させた。

そこで今回取り上げたいのは、岩政監督を非常に慕う鈴木優磨である。

半年で終わった鈴木優磨と上田綺世の最強2トップ

鈴木は、2022年1月に鹿島へと復帰した。

2018年のAFCチャンピオンズリーグでMVPに輝き、翌年夏にシント=トロイデンへ移籍。2020-21シーズンに17ゴールを記録し、ステップアップを目論んだ。

しかし移籍期限の最終日に交渉が破談。一転して5大リーグへの移籍を諦め、古巣・鹿島に骨を埋める覚悟で復帰した。

その当時の想いについては、鈴木の実のお兄さんである鈴木翔大(現鹿児島ユナイテッド)がQoly(コリー)のインタビューで教えてくれている。

(動画 12:12~)

昨シーズンの前半戦は、鈴木と上田綺世との2トップがJリーグで猛威を振るった。

もともとクリスティアーノ・ロナウドに憧れた鈴木だったが、この頃は「(カリム)ベンゼマがフォワードとしての原点にして頂点」と語り、FWでありながらゲームメイクまでこなせる選手を理想としていた。

さらに上田のストライカーとしての能力に感嘆し、1.5列目のサポート役にまわった。これが最高に機能し、鈴木のキャラクターもあって毎週Twitterのトレンドにあがるほどだった。

しかしこの最強コンビは、上田の欧州移籍によってわずか半年で終わってしまう。

取り戻した点取り屋としての本能

上田がいなくなり、鹿島には核となるFWが不在となった。

しかし鈴木は下がってゲームメイクすることに固執する。実際、当時のヒートマップを見ても、左サイドやボランチ近くまで色が濃くなっていた。

日に日にゴールから離れポジションが下がっていく鈴木に対し、鹿島ファンはもちろん彼を日本代表のFWとして推していたファンもまたやきもきした。

確かに彼のワンステップで逆サイドまで正確に届けるロングパスや、半身の体勢からあげるクロスなどは魅力的だった。

だが、ゴール前での駆け引きや力強さ、相手を背負ってのキープ力、競り合いに強く正確なヘディングは(ヘディングを除けば)上田に足りないものであり、そのまま日本代表に最も欠けているものでもあった。

カタールワールドカップでの日本代表は一般的に成功と考えられているが、もし鈴木がFWにいて機能していればもう一段階上の景色を望めたのかもしれないーーそんな想いを抱かざるを得ない。

そんな妄想はさておき、その鈴木は最近、ようやくFWとしてのプレーに集中できるようになった。

3試合連続でのゴールはそれを表すものだろう。そしてガンバ戦での強烈なヘディングゴールは、相手との接触を恐れない鈴木のストライカーとしての本能を感じさせるものであった。

やっぱり鈴木にはゴール前がよく似合う。

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再びストライカーとして闘志をむき出しにし、毎週、敵味方を問わずに騒がせるこの男に大いに期待したい。

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