豊田章男氏が追悼コメント。ランドクルーザーを鍛え続けたリシトロイシターに「今まで、ありがとう」

 4月26日、モロッコで開催された『モロッコ・デザート・チャレンジ』にプライベーターとして参戦していたローラン・リシトロイシターが、競技中に発生した不慮の事故によりこの世を去った。昨季2022年のダカールラリーで、チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)の『トヨタ・ランドクルーザー200』を市販車部門優勝に導いたコドライバーの逝去をうけ、豊田章男TOYOTA GAZOO Racingオーナーが追悼コメントを発表している。

 リシトロイシターは2009年からダカールラリーに参戦し、通算14回の出走で3度クラス優勝を果たしたフランス人ナビゲーターだ。TLCには2015年に加入し、翌2016年からトヨタ車体の社員ドライバーである三浦昂とペアを組むと、2018年に初優勝。2021年からは2連覇を果たし、今年チームメイトが優勝したことで達成されたTLCのダカール市販車部門10連覇に貢献してきた。

 今年1月に開催されたダカールラリーにも三浦とのペアで参戦したフランス人は、自身が開発に関与した新型『ランドクルーザーGRスポーツ(300シリーズ)』のダカールデビュー戦を総合108位で完走。同じく新型ランドクルーザーでデビューウインを飾ったロナルド・バソ/ジャン・ミッシェル・ポラト組に次ぐ部門2位に導き、チームのワン・ツー・フィニッシュを支えている。

 そんなリシトロイシターの逝去をうけてTOYOTA GAZOO Racingのオーナーを務める豊田氏がコメントを発表。46歳でこの世を去ったトヨタグループの仲間に哀悼の意を捧げた。

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トヨタ車体チームランドクルーザーのナビゲーターであるローラン・リシトロイシター選手がプライベート参戦していた競技中に、事故で亡くなられました。
ご冥福をお祈りするとともに、ローラン選手のご家族、ともに戦ってきた三浦選手をはじめとしたチームの皆さまにお悔やみ申し上げます。

チームランドクルーザーとは2018年にモロッコで一緒に走行訓練をさせていただきました。その時、三浦選手の運転するランドクルーザーで、初めて砂丘でのドライブを体験しました。

ローラン選手のシートを借りたそのドライブは、今も記憶に残るとても貴重な体験です。
そこで強く感じたことがふたつありました。

ひとつは、ダカールラリーに参戦してくれているチームのみんなが、砂漠という厳しい環境でランドクルーザーを鍛え、育ててくれているということです。

ランドクルーザーを鍛え続けてくれたローラン選手に改めて感謝いたします。
今まで、ありがとう。

もうひとつは、「絶対に生きて帰ってこられるクルマ」を我々は追い求めないといけないということでした。

深い砂にスタックし抜け出せなくなったことがありました。もう一台のランドクルーザーが助けに来てくれなければ、私はそこから帰れなかったということです。

どこへでも行けるだけでなく「言ったら無事に戻ってこれる」ことがモビリティの絶対的な使命だということを痛感しました。

レースやラリーも無事にゴールすることがなにより大切です。

TOYOTA GAZOO Racingオーナー豊田章男

トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツが初参戦した2023年のダカールで、市販車部門2位となった三浦昂/ローラン・リシトロイシター組(左奥)
三浦昂/ローラン・リシトロイシター組(トヨタ・ランドクルーザー200) ダカールラリー2022

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