中国が軍事演習を実施、緊迫する台湾情勢…「ひまわり学生運動」から9年

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。日本と地続きになっている世界の情勢を考える「New global」のコーナーでは、緊迫する“台湾情勢”を取り上げました。

◆中国はなぜ台湾に圧力をかけるのか?

中国は4月、台湾を取り囲む形で多くの軍用機や艦船を動員した軍事演習を実施。台湾国防部によると、中国の軍用機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」となっている中間線を次々と越えたということです。アメリカ政府は中国による台湾への圧力強化に懸念を示しました。こうした台湾海峡の緊張に対し、日本を含む周辺国は、動向を注視しています。

現在、台湾情勢は非常に緊迫していますが、そもそもなぜ中国は台湾に対して圧力をかけているのか、キャスターの堀潤は地形的に分析。中国からしてみると、外洋に出るためには日本の沖縄から台湾、そして米軍との関係も深いフィリピンを結ぶラインを通過せねばならず、中国は、台湾は自分たちのアライアンスであり"ひとつの中国であること”を国際的に証明することが必要と考えていると分析。そして、これは同時に「私たち自由主義諸国にとって、そこが緊張の潮目になっている」と堀はこの海域の重要性を訴えます。

◆台湾に変化を促した「ひまわり学生運動」とは?

堀曰く、台湾に大きな変化を引き起こしたのは、9年前の「ひまわり学生運動」。当時、台湾の馬英九政権は親中派。そして、特に経済界は中国との貿易こそ台湾の発展に繋がると考え、馬英九政権は「サービス貿易協定」という自由貿易協定の制定を目論みます。

しかし、これに待ったをかけたのが当時の学生たちで、彼らは台湾憲政史上初めて立法院(国会)を占拠。その時、学生がひまわりを持っていたことから「ひまわり学生運動」と名付けられ、彼らは台湾の民主主義を守ろうと奮起。最終的には対話で解決する運びとなるものの一部の学生は立法院に残り続け、2014年4月10日に警察が強制排除。「ひまわり学生運動」は終焉を迎えました。

当時、この運動を取材した堀は「(2014年)4月10日以降も若者たちは声を上げ続け、学生たちは『アートを使って世界に伝えたい』、『台湾で起きている民主化の波を止めたくない』と一生懸命発信していた」、「日本や香港の人たちに向けて『一緒に戦ってください』と呼びかけていた」と振り返ります。

そして、「『ひまわり学生運動』がその後の香港の『雨傘運動』、2019年の香港民主化デモにつながった」と言い、「こうした動きがあるからこそ、中国共産党はこの民主化運動に対しては非常に脅威を感じている」と経緯を語ります。

また、先の総統・馬英九氏は1度退陣したものの、近年動きが活発化しているそうで、堀は「ひょっとしたら(中国側は)軍事侵攻ではなく、(台湾の)内政に関与することで内側からアライアンスに引き込もうという動きも警戒しなくてはいけない。そんなタイミング」と案じます。

こうした状況に対し、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「冷静に見ることも必要」と主張。

なぜなら、台湾の国立政治大学が1994年から実施している世論調査を見ると、「現状維持が良い」と考えている人が圧倒的に多く、それは2014年以降も特に変化がないから。つまり、独立よりも現状維持、それが台湾の民意であり、大空さんは「最終的には台湾の人たちが自らの意思で決断する、それを日本もアメリカも尊重することが大前提だと思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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