【寄稿】4月商戦と現場感(WEB版)/POKKA吉田

4月3日は聖闘士星矢が導入された日。スマートパチンコの本格的導入開始の日であり、昨年11月21日とともに業界の歴史年表に記述するべき日であった。テストロケーションはあったが、本格的に全国に導入されたのは間違いなく4月3日からである。

だが、この日はスマスロ北斗の拳の導入開始日でもあり、この北斗が初日から奇跡的なIN枚数を連日叩き出し、スマパチ開始よりも北斗が話題を独占した。これは客の反応としては素直なものだったと言える。

サミーの広告展開も物量的にもかなりのものとなっており、かまいたち出演のCMも露出されまくっている。また、演者系配信者等が広告案件ではなくともとりあげることもとても多い上、YouTubeなどの各動画の再生回数も良いので、しばらくはSNSを中心にサミーの広告展開とは「別に」北斗の発信が増えそうな気配である。

初日からのIN枚数の凄さは際立っており、良いも悪いも朝から並んで抽選(番号)に勝つか、北斗の島に張り付いてやめる客を待つかしないことには全く遊技することができない状況が続いてる。こんなこともものすごく久しぶりだ。というか、SISのデータでは過去に私が見たことないIN枚数になっているわけで、物凄い初動を見せている。

個人的には、1月に脳梗塞やった者として、左の片麻痺なので、メダルがあるよりもスマスロの方が遊技は楽である。スマスロの先行4機種は既に打ってわかったつもりなので北斗を打つのが楽しみであるが、私は並んだり背後で待ったりを一切しない人なので、フラッと覗いて打てるようになるまでカレンダーを待つことにしている。もちろん初動が良いとは言ってもその後がどうなるか、それはわからない。だが、初週としての営業データはおそらくこれ以上ないくらいのものとなった。

それよりも聖闘士星矢は初動が厳しい。このためスマパチに対する期待感・不安感が多くのホール関係者の間で揺れ動きそうな気配も感じている。そもそも今年に入ったくらいから北斗の実機披露が始まっており、スマスロが当時はまだ本格登場前のスマパチよりも注目度が高くなっていた。そのような中で2月の途中くらいから仕置人の実機披露が始まり、こちらが全国のホール関係者の注目を一気に集めて台数確保競争に発展し、ギリギリスマパチも注目されたかのような印象である。そういう意味では仕置人の本格導入が待たれる。

その仕置人だが、京楽が直営店でのテストロケーションを4月11日に開始。栄では58000個以上のアウトとなっており、スマパチ最注目機の面目を保ったまま全国に導入されることになりそうだ。スマート遊技機はPS問わず、事前に導入前に実機を見ないように努めている。理由は単純で「ホールで遊技して初めて触りたい」と思っているからだ。だが、仕置人はその例外。2月の途中から急激に注目機になったことは多くのホール関係者から聴いていたが、その多くが「実機を見てから急激に高評価」となっていることから、注目された理由を知りたくて、スマート遊技機をホール以外であらかじめ見せてもらっている。

本誌が出てる頃にはスマパチ、スマスロ、それぞれについて、いろんな結論が出てるとは思う。ただ、初週絶好調の北斗があり、テストロケーションでは高稼働の仕置人があり、メダルパチスロでも注目機のハーデスがあり、と4月は新機種注目機が揃っている。ここにP機で成功機種が登場すれば、ぱちんこもパチスロ機も、スマート遊技機も既存機も、ゴールデンウィーク商戦を経て収益構造がかなり改善することも期待できる。

基本的にはパチスロについて、不安視する業界関係者は減っている印象だ。6.5号機の台頭とスマスロの登場と、そして4月3日の初週の北斗の飛び抜けた稼働状況とを合わせて、これにスマスロは何機種も続く予定だしハーデスもあるとなれば、パチスロ市場は回復・成長過程にあると考える方が自然だろう。カバネリはもちろん、沖ドキGOLDもあった。スマスロもメダルのパチスロも将来展望が描けるようになっている。

問題はぱちんこの方であり、やはりP機。Re:ゼロを超える機種が1年以上登場していないのが難点となっていると思う。319系新機種の中では大海5が高評価となるが、咆哮、Re:ゼロに続く機種、というイメージではない。

この辺はやはりスマパチが牽引する形でP機も含めたぱちんこ市場全体を良化させてほしいところだ。スマパチも続々と新機種タイトルが判明しているが、現在最注目機となっている仕置人が全国に導入されたときにどのような稼働を見せてくれるか、そこにかかっているような気もしている。

ホールの経営環境を考えると、近年、抱き合わせなど、不公正販売は明らかに増えている。また、昨年から電気代が急騰し経費を圧迫している。さらには成功してるとはいえ、スマート遊技機導入には各種設備投資が必要だ。仮にスマート遊技機をすぐに導入しないとしても来年は新紙幣への改札がある。古い設備の店がスマート遊技機を見送ったとして、こちらについては見送りようがないものであり、ユニットが古ければ古いほど改札対応にはコストを要するわけだ。

このように遊技機市場の状況が改善したとて負担増もあって、行って来い的な評価も聞こえてくる。が、いずれにせよ、まだまだ装置産業であるぱちんこ業界だから、遊技機に将来性、未来を期待できる環境であることが最も望ましいのは間違いないだろう。

その意味では4月攻勢が始まったばかり。ゴールデンウィーク明けに5類移行でコロナ禍が終わればそこからが本当の勝負となるだろう。

4月5日にはスマートプレゴ池袋がオープン。店舗を実際に見に行ったが、最終的に200台近いフロアになる予定とのことであり、増台予定のベニヤ島が控えていて、池袋駅前のスマート遊技機台数がかなり増えることになる。スマスロもスマパチも今後、注目タイトルはいくつも登場するのだから、スマートガーデン、スマートプレゴに続く専門店(プレゴは専門フロアのようなイメージだが)も登場していくことになるだろう。

スマスロは北斗の登場でステージが一つ上がった気がする。スマパチは仕置人でステージを始めて欲しいと願っている。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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