朝井リョウの小説『正欲』が稲垣吾郎&新垣結衣で映画化、磯村勇斗・佐藤寛太・東野絢香の出演が決定

監督・岸善幸、脚本・港岳彦で「第34回 柴田錬三郎賞」を受賞した朝井リョウによる小説『正欲』を、稲垣吾郎、新垣結衣を出演者として迎え、映画化することを昨年に発表した映画『正欲』。

本作に3人の追加キャスト情報を解禁するとともに、コメントが到着した。また、登場人物5人それぞれの場面写真も初解禁!

『あゝ、荒野』の監督と脚本家が再タッグ! 今年最大の意欲作を生み出す!

『正欲』は家庭環境、性的指向、容姿――様々に異なった“選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的なストーリー。『あゝ、荒野』(2017)で国内の映画賞を席巻し、その確かな演出力が高く評価される演出家・岸善幸がメガホンを執り、『あゝ、荒野』で岸監督と組み、本年も『アナログ』(タカハタ秀太監督)、『GOLDFISH』(藤沼伸一監督)など、執筆作品が立て続けに公開される港岳彦が脚本を担当。

出演者として、稲垣吾郎と新垣結衣が、息子が不登校になった検事・寺井啓喜(てらい・ひろき)と、特殊性癖を持つことを隠して生きる・桐生夏月(きりゅう・なつき)を演じることが既に発表されている。

稲垣吾郎、新垣結衣に加え、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香が出演!

先に情報を解禁していた稲垣吾郎と新垣結衣に加え、今回、出演情報解禁となったのは磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香の3人。両親の事故死をきっかけに、中学3年まで暮らしていた広島に戻ってきた佐々木佳道(ささき・よしみち)を演じるのは、『ヤクザと家族 The Family』(2021/藤井道人監督)と『劇場版 きのう何食べた?』(2021/中江和仁監督)で「第45回 日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞するなど、現在の日本映画界に欠かせない俳優、磯村勇斗。夏月の中学時代の同級生で、ふたりは誰にも言えない秘密を共有している。

大学生でダンスサークルに身を置き、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持ち、一見華やかな場所にいるように見えるにもかかわらず、ひととの交流を避ける諸橋大也(もろはし・だいや)には、映画、テレビドラマ、舞台と幅広く活躍する劇団EXILEの佐藤寛太。

大也と同じ大学に通い、学祭実行委員として大也が所属するダンスサークルにイベント出演依頼をする神戸八重子(かんべ・やえこ)を演じるのは、舞台、テレビなどで活躍し、連続テレビ小説「おちょやん」(2020/NHK)で注目を浴びた東野絢香。本作が映画初出演作品となる。通学中や講義中も、八重子は異性と目を合わさぬよう、触れることがないようにやり過ごそうとする。

「読む前の自分に戻れない」と評される、価値観を揺るがす原作世界の映画化。実力派俳優揃いの出演者たちがこの難役をどう演じるのか、期待が高まる。

【追加キャストのコメント】

<磯村勇斗>

今回の作品では、自分の指向とは異なる人物を演じなければならなかったので、その感覚を体になじませるのが難しかったです。ですが『前科者』でご一緒させていただいた岸監督とだったので、信頼しながら作り上げていきました。クランクイン前や現場で監督と話し合い、丁寧に佐々木佳道に寄り添っていきました。難しい題材ではあるものの、今の時代に問う作品になっていると思います。

<佐藤寛太>

自分の身体の目に見えるところに傷をつけられたような、今後一生自分が向き合っていくことになるものだと気づかされた。というか知らされた、知らしめられたという感覚でした。準備期間前に、自分が当たり前だと思っていた価値観が崩れる不思議な体験でした。杭を一本一本打ちながら登っていく力強さを大也に感じたから、それは誰にでもあるものじゃないから、勇気をもらうじゃないけど、今までにない感じ方をした役柄でした。

岸監督の演出の何がすごいって、遠回りをさせてくれる。簡単に答えを出さないから、遠回りして見た景色を現場の本番というゴールに来た時に、もうひとつ昇華させてくれる、一緒に考えてくれる。欲しい言葉をくれるというのもあるけど、絶えず考えさせてくれるし、信頼してくれてるのがすごく分かるから、気張るという意味ではなく、応えたいと思うし、この監督が創る作品の中で、重要なピースでいたい。と気持ちよく思わせてくれる。

今回ご一緒させていただいて、ここに呼ばれるように自分を削っておきたいな、と思いました。どこかでまあこれでいいかと思わず、ずっと削っておきたいです。こんな組に携われることはなかなか無いから、ここでできることは全部出しときたいな、この作品、この役に悔いを残したく無いな。と思いました。この映画観てくれた人がみんな傷つけばいいのに、傷ついてハッとして人に優しくなればいいのにって思います。

<東野絢香>

原作を読んだ時に感じた、喉の奥に広がる苦さが逃げないよう、丁寧に撮影を重ねて挑みました。全てを愛する事は、難しいです。ですが、あの日、カメラの前に立ったあの瞬間は、心から何かを愛せたと思います。

1秒1秒がスローモーションに感じたあの時間や空間を、私は生涯忘れません。この作品が、誰かにとっても、そう記憶される映画になればと、万感の思いでいっぱいです。

<STORY>

歩き慣れたこの世界は、どう見えるのかな――

不登校の息子が世間から断絶されることを恐れる検事の啓喜。ひとつの秘密を抱え、自ら世間との断絶を望む寝具販売員の夏月。夏月の中学の同級生で、夏月と秘密を共有する佳道。心を誰にも開かずに日々を過ごす大学生・大也。自分の気持ちに戸惑いながらも心に従おうとまい進する、大也と同じ大学に通う八重子。

無関係に見えたそれぞれの人生が、ある事件をきっかけに交差する。

原作:『正欲』(新潮社刊)

原作小説は、2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「第22回 小説すばる新人賞」を受賞、2013年『何者』では直木賞を受賞した朝井リョウが、作家生活10周年で書き上げた渾身の一作。2021年3月に発売されるやいなやその内容が波紋を呼び、「第34回 柴田錬三郎賞」を受賞した話題作。

自身が「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と語る通り、共感を呼ぶ傑作か、目を背けたくなる問題作か…「この衝撃は読んでみないとわからない」「もう読む前の自分には戻れない」と、続々と読者が増え続けている。

発売から2年以上の時を経て、本年5月29日に待望の文庫化。さらなる読者を獲得していくことは間違いない。

(よろず~ニュース・椎 美雪)

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