<南風>宇宙を楽しむ

 先日「アストロ・デー」(天文の日)がハワイ島のショッピングモールで催されました。今年で15年目を迎えた、天文学とハワイ文化のイベントです。マウナケアの各観測所に加え、高校のロボットクラブ、アマチュア天文家、火山センターなど30以上の団体が出展し、音楽やフラダンスのパフォーマンスも行われ、多くの来場者を楽しませました。 すばる望遠鏡ブースは20人以上のスタッフが駆けつけ、子供から大人まで楽しめるさまざまなアクティビティを提供しました。キッズコーナーには常時10人以上の子供たちが集まり、すばるの「ゆるキャラ」スービーの帽子作りや塗り絵、星型折り紙などにいそしみました。スービー効果は絶大で、天文学に興味がない方々も立ち止まって、アクティビティに参加しました。

 太陽光で変色するUVビーズも大人気です。ハワイの強い日差しの下では、あっという間にビーズの色が変色します。日焼け止めを使うとビーズの色が変わりません。さまざまなミニ実験を通して、光・紫外線の性質を楽しく理解してもらいました。「虹を作ろう」コーナーでは分光カードで光を色(波長)別に分け、虹を見てもらいました。天文学でも星や銀河の光を色別に分けて研究を行います。すばる望遠鏡が見つけた最遠方銀河も分光(虹)データから、距離を測定しています。

 望遠鏡の技術者コーナーでは、来場者にヘルメットや安全ベルトを着用してもらい、山頂で働く様子を感じてもらいました。技術者は標高4200メートルの空気が薄いマウナケア山頂で、ときには高さ43メートルの望遠鏡ドームの上で作業をします。安全第一がモットーです。

 アストロ・デーを通じて、観測所での仕事や天文学を地域の皆さんと分かち合うことができ、幸せな1日でした。今度はどんな展示を行おうか、と今からワクワクしています。

(嘉数悠子、国立天文台ハワイ観測所アウトリーチ・スペシャリスト)

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