前埼玉県知事上田清司参院議員に聞く、有権者の「多選」感覚の変化は?選挙ドットコムちゃんねるまとめ

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2023年5月1日に公開された動画では、ゲストに前埼玉県知事で現参議院議員の上田清司さんお迎えし、ご自身の政治家としての歴史や今回の統一地方選挙について、幅広く語っていただきました。

知事在任中に多選自粛条例を制定した上田氏が見る、有権者の「多選」感覚とは?

【このトピックのポイント】
・選挙で勝ち続けるポイントは自身の後援会構築
・立憲民主と国民民主、それぞれが大きくなって連立を目指すべき
・コロナ禍でかわる「多選」

上田清司氏のプロフィールは以下の通りです。

2019年に参議院議員となられ、まもなく4年となる上田氏ですが、2003年から4期にわたり埼玉県知事を務めてこられました。

今回は以下の質問からいくつかピックアップして上田氏に回答していただきました。

選挙で勝ち続ける極意は……?勝ち続けるための「10年計画」

今日でこそ選挙に強いイメージの上田氏ですが、新自由クラブ立党に参加後、しばらくは落選が続きました。また、一度は政党としての要件を満たすため、選挙にだけ出たこともあったのだそう。

当時の政党での選挙活動は、無制限に選挙カーも出せ、政党ビラも無制限。政党に所属していることと無所属では大きな差がありました。

衆議院議員で要件を満たすためには25人必要でしたが、立党当初の新自由クラブでは立候補者が16名しかいませんでした。このままでは、当時代表だった河野洋平さんも幹事長の山口敏夫さんも無所属になってしまう。本来福岡ご出身の上田氏も、「24人目の候補者として、男気で出馬してしまった(笑)」という事情があったそうです。

落選が続いたとはいえ、上田氏自身にとっては「10年計画だったので、着実に上げていっただけ」と泰然と語ります。

ご自身の地盤である10市2町ごとに得票状況を分析し、2位が3つ、3位が3つ…とじわじわと票を伸ばしていったことで、ご自身の支援が浸透することに自分で確信が持てるようになったことが、選挙戦の強さにつながったそうです。

「知り合いが妻ひとりですし、所属政党(の支持率)は1%〜0.7%、推薦団体はほぼ0ですから(笑)」と笑う上田氏の選挙選の強さを形作る歴史がうかがえました。

立憲民主と国民民主はひとつになれる?

上田氏は、「競馬の予想屋じゃないもんで」と前置きしながらも、一緒になって安全保障や意見が違うことで議論を戦わせるより、それぞれが大きくなって連立したほうがいいと断言します。

小選挙制で勝つには、普段からの両党での協議、ある意味での野党連携が大事だと上田氏は語ります。

上田氏「選挙区の調整を行い、予備選挙をすればいい。今は世論選挙がちゃんとしている」

MC鈴木は、上田氏に今回の統一地方選前半選における、維新の会の状況について問いかけます。

上田氏は、「政策の違いをいちいち調べている人なんていやしない。(維新の)やつら元気だよね、なんとなく荒っぽいけど」と、維新が有権者にもたらすイメージを語り、その背景として、維新が大阪を中心に都構想、万国博覧会、IRといったさまざまな目標を作り、拡大してきたことを指摘します。

とはいえ、関東では思いのほか維新が伸び悩んだ様子。今回の統一地方選前半選では、大阪以外の地域、名古屋圏や関東、東京は全面的に受け入れる感じではない様子も見受けられました。

MC鈴木邦和「維新のイメージが関西から抜けてこない?」

上田氏「でしょうねえ」

上田氏はそれでも、維新は勢いがあり魅力的、ほかに勢いがあるところがない、と締めくくりました。

首長の多選はありなし?今回の統一地方選の「多選批判」は?

埼玉県知事に就任後、全国に先駆けて「連続3期を超えて在任しないよう努める」とする知事の「多選自粛条例」を制定した上田氏。

ご本人は、多選自粛条例を作った後、当時の「ええかっこした」自分が横着だった、と当時を反省します。

とはいえ、自分は3期12年でもともと辞める準備をしていた上田氏。市長会や町村長会に強く引き止められ、結果として4期16年務めたと振り返ります。

上田氏は、最近は5選になると多選と言われるようになったと指摘し、その理由として新型コロナの影響を挙げます。4期で辞めようかと思っていたが、コロナ対策で「今辞めたら申し訳ない」ため継続、という首長も少なからず存在したことを指摘します。

そんな上田氏は、多選の弊害、硬直化の側面を「人による。あとは議会。」と明言します。

議会との関係性について上田氏は、首都圏では、議会が活発で決して首長に従属しないということを指摘します。

その上で上田氏は、都市部の首長が権力者になりにくいのは、選挙区がどろどろとしていないので自分の意見がはっきり言える、ということを示します。

上田氏「選挙区が地域代表のようなかたちで我田引水のような話をしなければならないところとは違う。もっとも、埼玉は『とかいなか』とも言われるが(笑)」

MC鈴木「今回の統一地方選、多選候補にとって厳しい選挙結果だったが、有権者の多選に対して厳しくなったと感じるか?」

この質問に対しては、上田氏は鳥取県知事の平井伸治氏を例にあげて否定。

他方で、徳島県知事選挙において新人で衆議院議員を務めた後藤田正純氏が当選したことについては、知事や参議院議員は選挙区が広いゆえの難しさがあったと話します。

上田氏「徳島は最初から衆議院(後藤田氏)が勝つなと思いました。」

MC鈴木「徳島県知事の結果が見えていた?」

上田氏は、後藤田氏は自分の後援会をしっかり持っていたことが勝因につながったのだろうと指摘します。また、たとえ支援団体が県組織で推薦したとしても、支部レベルでは立候補者との関係で県組織とは別の動きをする可能性があるからです。

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