全国の電力会社が、繁殖期を迎えたカラスの巣を電柱から撤去する作業に追われている。巣の材料となる針金ハンガーなどが電線に触れ、停電を引き起こすためだ。各社は見回りや撤去を強化しているものの、カラスは同じ場所に巣を作る習性があり、いたちごっこが続く。
4月28日、津市郊外の水田近く。中部電力パワーグリッド(PG)の作業員が高所作業車を使って電柱上部まで上がった。地上10メートルの位置には、枝や針金などで作られた直径50センチ超のカラスの巣があり、卵が3個載っていた。作業員は感電防止のゴム手袋を着け、ゆっくりと巣を取り外した。
カラスは3月ごろ~初夏に繁殖期を迎える。中部電PG三重支社によると、県内だけでも毎年、電柱に作られた約3千個の巣を撤去。カラスの巣による停電は昨年、支社管内は9件あった。
鳥獣保護法に基づき原則、卵やひながいる巣の撤去はできないが、電力会社は許可を得て実施している。全ての巣を撤去するわけではなく、緊急性がない場合はひなが巣立つまで待つなど、慎重に判断するという。