雇用創生協不正受給、返還期限過ぎ3年 延滞金膨らみ3200万円超に 市長「解決策見当たらず手詰まり」 兵庫・宍粟

宍粟市雇用創生協議会の委託金返還問題で「解決への道筋はたっていない」と話す福元晶三市長=宍粟市役所

 兵庫県宍粟市雇用創生協議会を巡る委託金の不正受給問題で、兵庫労働局が同協議会に請求している返還の期限が過ぎてから、1日で丸3年になった。同日時点で未返還額は3266万6720円に上り、加算・延滞金で元本から約900万円も膨らんだ。だが、3年たっても解決策は見いだせていない。(村上晃宏)

 兵庫労働局は、同協議会が実施した2018、19年度のセミナーなどを不適正と認定し、20年5月1日までに約3550万円を返納するよう求めた。同協議会は同日までに約1200万円を支払ったが、残りは未納のままで、今も加算・延滞金が1日約7千円ずつ増えている。

 同協議会の会長を務める福元晶三市長は3回、同労働局の担当者と面会した。加算・延滞金の一時停止も求めたが、実現しなかったという。

 同協議会の運営や会計などの中心にいたのは元事務局長の村岡龍男氏(62)。福元市長によると、村岡氏と連絡が取れていないため全容が把握できず、責任の所在や負担割合などを協議会員と話し合えない状況という。

 村岡氏は業務上横領容疑などでは不起訴だったが、市から起業家支援の補助金をだまし取ったとして詐欺罪に問われ、21年3月に有罪判決が確定している。

 このまま委託金が返還されなければ、同労働局が裁判所に返還を求めて提訴する可能性もある。同労働局は「提訴となる前に返還されることを願う」と現状は静観する構えだ。

 福元市長は市議会で「返納に市の財源を使わない」と明言しており、「解決への思いはあるが、方策が見当たらない。現状は手詰まり」と頭を抱える。 【宍粟市雇用創生協議会】2018年、元神戸市議の村岡龍男氏と地元住民らが提案し、福元晶三市長が会長を引き受けて発足。紙幣の原料となるミツマタなどを使った雇用創出計画が、厚生労働省の実践型地域雇用創造事業に採択された。だが19年、委託金の不適正な受給が発覚。外部識者による検証委員会は、福元市長や市に対し「責任感やチェック体制が不十分」と指摘した。

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