大賞に「JK、インドで常識―」 高校生に薦める本 県内司書ら選ぶ

山陽学園中・高の「でーれーBOOKS2023」のコーナー

 岡山県内の高校司書らが生徒に薦める本のコンテスト「でーれーBOOKS」が10回目を迎えた。今回の大賞は、女子高生がインドでの生活体験をつづった「JK、インドで常識ぶっ壊される」(熊谷はるか著)が選ばれた。

 コンテストは、県高等学校図書館ネットワーク研究委員会が幅広い分野の本に触れてもらおうと2014年から実施。第2回以降、対象をノンフィクションに絞っている。

 第10回は21年8月~22年7月に刊行された作品の中から、34人が56点を推薦。投票で上位7作を決めた。大賞の「JK―」は、著者が父親の転勤に伴いインドで3年近くを過ごし、帰国した高校3年生のときに執筆した。

 2位は、福井県の高校で生徒と教員が宇宙食のサバ缶を開発した実話に基づく「さばの缶づめ、宇宙へいく」(小坂康之、林公代著)。3位には昨年の本屋大賞でノンフィクション本大賞を受賞した「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」(川内有緒著)を選出した。

 第2回から運営に携わる山陽学園中・高の田中麻依子司書は「『高校生だからこそ読んでほしい』という先生たちの思いで続けてこられた。生徒の背中を押せるような作品を選んでいきたい」と話す。

 県立図書館(岡山市北区丸の内)と書店の啓文社岡山本店(同下中野)では11日まで、上位の書籍を集めたコーナーを特設している。

「前向きになれる」 山陽学園高図書委員が感想

 「でーれーBOOKS2023」の受賞作が決まったのを受け、作品を読んだ山陽学園高の図書委員4人に感想を聞いた。

 ◆「JK、インドで常識ぶっ壊される」を読んだ3年仁木望愛さん(17)

 インターナショナルスクールで積極的に友人をつくったり、スラム街を訪れたりと、著者の行動力がすごい。高校生が読んだら、前向きになれる本だと感じた。私は将来、外国で仕事をすることが夢。「海外でもなんとかなる」と、自信がついた気がする。

 ◆「さばの缶づめ、宇宙へいく」を読んだ2年石川桃子さん(16)

 作中では予算や学校の統廃合といった危機を乗り越えながら、十数年かけて宇宙食のサバ缶を完成させた。ゴールに向けて根気強く生徒と向き合う先生の姿に感動した。私は諦めが早いタイプだが、長い時間をかけて取り組み続ける大切さを学んだ。

 ◆「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」を読んだ2年宮本陽香さん(16)

 全盲の白鳥さんに絵画を説明しようと、著者とその友人がいろいろ話すけど、うまく言葉にできなかったり、意見が食い違ったりする。3人の観点の違いが面白くて、「その人がその人のままで作品を見ることが尊い」というせりふにめちゃくちゃ共感した。

 ◆上位7作の「ノミネート作品」に選ばれた「私の中のこの邪悪な感情をどうしよう?」を読んだ3年橋本萌さん(17)

 この作品は堅苦しい啓発本ではなくて、自分のネガティブな気持ちにどう対応するか、読者に寄り添って示してくれている。私は受験を控えていてネガティブな気分になることも多いと思うから、今読んでいて良かった。他のみんなにも薦めたい。

「みんなに薦めたい」と読んだ本を手にPRする山陽学園高の図書委員

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