クアルタラロ、ペナルティに疑問。1周目2コーナーの「避けようがなかった」アクシデント/第4戦スペインGP

 MotoGP第4戦スペインGP決勝レース、1周目の2コーナーでファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)はふたりのライダーと接触して転倒を喫し、このアクシデントによってロングラップ・ペナルティを受けた。しかしクアルタラロは転倒時の状況を説明した上で、このペナルティについて、「理由がわからない」と疑問を抱いている。

 ロングラップ・ペナルティを受ける原因となったのは、決勝レース1周目のアクシデントだ。2コーナー進入で後方集団にいたクアルタラロは、前を走るマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)とミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)の間に挟まれる格好となり、ベゼッチと接触して転倒した。

 このときクアルタラロのアウト側にいたオリベイラは、転倒したクアルタラロのバイクと接触して、クラッシュ。ベゼッチは走り続けることができたが、クアルタラロとオリベイラは2コーナーアウト側のグラベルに転がった。このアクシデントにより赤旗が提示され、レースは24周で再開されている。オリベイラは左肩を脱臼して再開後のレースに参加せず、病院での検査の結果、左肩上腕骨の小さな骨折が確認された。

 10位でレースを終えたクアルタラロは、レース後に囲み取材で2コーナーでの状況を説明した。

「ベゼッチが僕の前にいて、僕は真ん中にいた。あのクラッシュを避けることはできなかった。僕はブレーキをかけ、止まろうとしたけど、誰かに当たってミゲールのバイクにクラッチがとられてしまい、ベゼッチのバイクに接触したんだ。どうしようもなかった」

 避けようのない状況だった、とクアルタラロは説明する。しかし、クアルタラロはそのアクシデントにより、再開後のレースでロングラップ・ペナルティを受けた。さらに、クアルタラロは13コーナー外側に設けられたロングラップ・エリアでペナルティを消化したとき、出口で白線を踏んでしまい、ロングラップ・ペナルティが正確に行われなかったとして、再度、ロングラップ・ペナルティを受けてこれを消化している。

 クアルタラロはペナルティについて「驚いた」と述べた。クアルタラロの見解としてはペナルティを受けるものではなかった、と言う。転倒について説明していたように、クアルタラロとしては避けようのない状況だったからだ。

「ペナルティの理由がわからない。マヨ(マッシモ・メレガリ)とリン(・ジャービス)が説明を求めてレースディレクションに行った。でも、説明ははっきりしないものだった。僕たちとしてはおかしなことはなかったと思うし、明らかにペナルティになるようなことじゃなかったと思う」

「今日は、オーバーテイクしたかったわけじゃない。あの2台の間でとどまろうとしただけなんだ。でも、それが無理だったということははっきりわかる」

「2回目のロングラップ・ペナルティを受けたことについては、(1回目のロングラップ・ペナルティを終えてコースの合流するとき)バイクが来ているのを確認していただけで、ラインをはみ出していたことに気がつかなかったんだ」

 2コーナーのアクシデントでクアルタラロと接触して転倒したオリベイラは囲み取材が行われず、オリベイラから見た状況を確認することはできなかった。もうひとりの当事者はベゼッチだが、こちらはクアルタラロの少し前を走っていたので細かな状況を把握することは難しかったようだ。

 ベゼッチはアクシデントについて、「僕としてはちょっと避けられない状況だった。ファビオは僕とミゲールの間にいたので、彼はブレーキを少し早くかけることしかできなかった。僕が見たところはね。ただ、ちゃんと見るような時間はなかったから……」と、あくまでも正確な情報ではないと付け加え、「ミスは起こりうることだ。ファビオについて何か言うことはないよ」と、語るにとどめた。

クアルタラロが感じているふたつの問題

 クアルタラロは決勝レースを10位でゴールしている。2度のロングラップ・ペナルティを科されたことを考慮すれば悪くない順位と言えるだろうが、ロングラップ・ペナルティを除いても、クアルタラロのスペインGPの週末は苦しいものだった。予選順位はMotoGPクラスにおけるワーストの16番手。スプリントレースは12位だった。

 日曜日朝に行われたウオームアップでは、ガソリンタンクが重い状態で、ミディアムタイヤを履き1分37秒161を記録してトップタイム。クアルタラロはレースペースについて1分37秒後半から38秒0だと考えていたが、24周のなかで1周も想定していたラップタイムをマークすることはなかった。

「僕たちの問題はふたつある。ひとつはタイムアタックだ。それから、今日は10周の間、アウグスト(・フェルナンデス)の後ろで走っていたけど、接近することもオーバーテイクを仕掛けられることもできなかった。誰かをオーバーテイクしてギャップを築くと、少しはよく走れる。そして次のライダーをとらえる。これが問題なんだ」

 そう言って、クアルタラロの声色は少し苦しそうなものになった。

「……僕は速いしうまく走れると感じているのに、コントロールできない状況がある」

A.フェルナンデスの後ろで「接近もオーバーテイクもできなかった」とクアルタラロ

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