17年ぶり復活! 「約束果たせた」埼玉・狭山で音楽フェス 出演も来場も幅広い世代 思い思いに楽しむ

2日間で約4千人が来場したハイドパーク・ミュージック・フェスティバル=4月29日午後、埼玉県狭山市稲荷山1丁目の県営狭山稲荷山公園

 埼玉県狭山市稲荷山1丁目の県営狭山稲荷山公園で4月29、30両日、野外音楽イベント「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル(HMF)」が17年ぶりに開かれ、2日間で約4千人が来場した。若手やベテランのミュージシャンが舞台に立ち、躍動感あふれる音を公園の木々の間に響かせた。

 公園西側の一角にはドーム型の野外ステージが設けられた。来場者は、それぞれが持参した椅子に座ったり芝生に寝転んだりして、思い思いのスタイルで音楽を楽しんだ。

 1日目はEGO―WRAPPIN’(エゴ・ラッピン)やオリジナル・ラブの田島貴男さんらが登場。演奏の合間には「草木が生い茂る美しい稲荷山公園」「ハイドパーク狭山」などと会場を紹介した。ムーンライダーズは、今年2月にメンバーの岡田徹さんが死去したことを受け、岡田さんの楽曲も披露した。「ザ・フォーク・クルセダーズ」などで活動した加藤和彦さんのトリビュートバンドも編成された。

 2日目は佐野史郎さんらによるバンドやハイドパーク・キャバレー・バンドが舞台に立った。イベントの最後を締めくくったのは、HMFの復活開催を望みながらも2022年にこの世を去ったシンガー・ソングライター小坂忠さんのトリビュートバンド。うじきつよしさんやダイアモンド☆ユカイさんらが参加した。

 愛知県から訪れた田中裕子さん(38)は、ムーンライダーズの演奏を楽しみに来場した。「両親と同じ世代の人たちが元気にやっていて、若手も頑張っていて励みになる」と話し、稲荷山公園には「緑が多く、アメリカの空気を感じる」と話す。

 新座市の松田由美さん(53)は「サニーデイ・サービスが良かった。野外のライブは初めてだが音が良く、また開催されたら来てみたい」と語った。

■麻田さん「約束果たせうれしい」

 HMFは実行委員長で音楽プロデューサーの麻田浩さん(78)=狭山市=が、かつて狭山に住んでいた小坂さんとYMOの細野晴臣さんに声をかけたことで2005年、初めて開催された。翌06年も実施されたが資金難のため、07年以降は開かれていなかった。麻田さんは生前の小坂さんから、HMFの復活開催を促されてきたという。

 麻田さんは1日、取材に「忠(小坂さん)との約束を果たせたことがうれしかった」と心境を語った。

 17年ぶりの開催には「心配した」が、親子連れが多かったことが印象に残ったという。「若い時に来てくれた人が、戻ってきてくれたのか」と推察する。「コンサートに来て遊んだことを覚えていてもらい、続いてくれたらと思う」と話す。

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