道路の真ん中におばあちゃん…小学生2人が「連絡」と「付き添い」で連携 川越署、「ヒーロー」に感謝状

高齢女性を救助した北方雅人さん(中央左)と藤井碧大さん(同右)。感謝状を贈った川越署の木村宏志署長(右)と川越市立芳野小学校の生駒義郎校長=2日、埼玉県川越市鴨田の同校

 2人の小学生たちの勇気ある行動が、高齢女性を交通事故に遭う危険から救った。埼玉県警川越署は2日、川越市立芳野小学校の4年生北方雅人さん(9)と6年生藤井碧大(あおと)さん(12)が、道路上に倒れていた女性を救助したとして感謝状を贈呈。同市鴨田の同校で開いた月1回の全校朝会で、木村宏志署長から2人に賞状が手渡された。

 同署によると、当時3年生の北方さんと5年生だった藤井さんは3月29日午後5時5分ごろ、同市鴨田の市道で、市内に住む80代女性が倒れているのを見つけた。現場は幅約8メートルで、中央線がある直線道路。交通量は比較的少ないが、住宅と水田などが混在する郊外のため、速度を上げて通過する車両が多い。

 女性は外出したものの道に迷って疲れ果て、道路のほぼ中央に横たわっていたという。2人は近くで遊んでいた時に女性を発見。北方さんと藤井さんは「何で倒れているんだろう。心配だな」と思い、女性の元へ向かった。

 2人の連携は見事だった。北方さんは「早く知らせなくては」と、母親を呼ぶために自宅へ急行。藤井さんは「車にひかれたら大変だと思った」と、体を起こせた女性を手助けして道路の端に移動させた。その後、北方さんの母親が到着して110番。3人で女性を道路の外に運び出した。女性は駆け付けた同署員の連絡で家族に引き渡されたが、左股関節を骨折していたことが分かったという。

 朝会はオンラインで開かれ、全校児童は2人の表彰を各教室で視聴。木村署長は「2人のヒーローに感謝状を渡します。皆さんも、困っている人や弱い立場の人がいたら、温かい手を差し伸べてください」と語りかけた。配信を行った教室で様子を見守った生駒義郎校長は「普段から命の大切さを教えているが、実践することは大人でも難しい。勇気ある行動を誇りに思う」と目を細める。女性の家族も学校を訪れ、朝会終了後、2人に感謝を直接伝えた。

 感謝状を受け取った北方さんは「すごくうれしい」と喜び、「良いことをしたんだなと思った」と実感。藤井さんは「おばあちゃんが無事だったのでうれしい。勇気を出して人の命を救うことができ良かった」とほほ笑んだ。

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