幕末-昭和の豪華節句飾り、高さ1.2メートルの甲冑も 兵庫・姫路の日本玩具博物館で特別展

神戸の上田人形店が大正期に製作した大型の座敷飾り。「らんぷの家」に展示している=姫路市香寺町中仁野

 端午の節句(5日)に合わせた恒例の特別展が、兵庫県姫路市香寺町中仁野の日本玩具博物館で開かれている。幕末から昭和にかけて、主に関西の商家などに飾られた豪華な節句飾りやこいのぼりなど約30組を展示。主会場には直前の特別展「雛(ひな)まつり」の作品も一部残しており、ひな人形も一緒に鑑賞できる。(上杉順子)

 端午の節句は中国から日本に伝来後、武家の祝儀と結びつき、男児の健康を願う行事になった。関東では質実剛健な甲冑(かっちゅう)飾りが発展。関西では京都を中心に優美な武者人形が愛されたが、戦後は小型化して甲冑飾りの脇飾りになった。特別展では各時代や地域の代表的な作品を並べ、飾りの変遷が分かるようにしている。

 細部に注目すると、甲冑をつなぐひもなどの染料は、明治中期を境に草木染から化学染料に切り替わり、経年変化でも色合いの違いが見て取れる。尾崎織女学芸員は「前立(まえたて)(兜(かぶと)の正面飾り)の竜なども、とてもかわいらしい顔をしているので、じっくりと見てほしい」と話す。

 今回は、主会場の展示ケースに収まらなかった「大物」も登場した。隣接する「らんぷの家」に置かれている大正時代の座敷飾りは、宮内庁御用も務めた上田人形店(神戸市兵庫区)が製作。神戸・北野にある家庭が所有していたもので、甲冑は高さ1.2メートルと、小学校低学年の子どもと同じぐらいの大きさ。飾り金具なども繊細に作り込まれている。

 6月25日まで。午前10時~午後5時。水曜休館。一般600円、高校・大学生400円、4歳以上200円。日本玩具博物館TEL079.232.4388

© 株式会社神戸新聞社