文枝「元気に長生きを」 弟子と共に健康祈願参拝

大阪天満宮本殿前で色とりどりの傘を差す弟子を背に笑顔の桂文枝=大阪市北区

 7月で80歳になる上方落語家、六代桂文枝が誕生日の同月16日夜に、なんばグランド花月で「傘寿(さんじゅ)記念落語会」を催すことになり、縁が深い大阪市北区の大阪天満宮で弟子10人と共に健康祈願参拝を行った。

 本殿で厳かな祈願を終え、「まず当日まで元気に長生きしたい。祈願を受けながら“よくここまで来られたな”と振り返っておりました。何よりも先代の5代目文枝(2005年、74歳で死去)が弟子にしてくれたから。それが23歳の時ですから、今から57年前。その翌年に吉本興業から“入れへんか?”と誘われ、会社創立110年でちょうど55年間お世話になった。一昨年1月に相次いで亡くなった母親と家内にも深く感謝しております」としみじみ。

 80歳という年齢について「私が60歳になった時、桂米朝師匠(15年、89歳で死去)に“還暦を迎えました”と報告したら、“落語家としてはこれからやで”とおっしゃって下さった。それから上方落語協会会長になり天満天神繁昌亭をオープンできました。一生懸命頑張ってきたら、知らん間に80歳になってました」と高齢者意識を捨てた様子。

 代名詞の創作落語は現在314作を世に送り出している。創作意欲について「今年も大阪市福島区の落語とか、既に何作か作りました。この歳になると新しく作るよりも、思い出す方が大変。根気がなくなり忘れっぽくなっている。作り方は昔と変わったことはないが、どうしても身の回りのことを落語にするので、つまずいたとか、聴力検査の話とか自分の老いの話題が増えてくる。若い時はそういうことはなかった」と分析。

 落語会には笑点メンバーの三遊亭好楽(76)の友情出演が決まっており、「実は東西のやもめ会の会長なんです」と紹介。「好楽師匠も奥さまを亡くされ、僕もですので…。会長同士で落語をやることに。本当に仲良くやってますので、楽しみにしています」と説明。ファンに向けて「面白い落語をします。好楽師匠の落語以外にもいろいろ考えていますが、まだ中身が完全に決まっていない。この日ならでは、のスペシャルな企画を予定していますのでお楽しみに」とPRした。

大阪天満宮本殿で祈願のかしわ手を打つ桂文枝(右手前)とその一門

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