新たにアジアのベンチャー企業がF1参戦に名乗り。チーム名は『ラッキー・サンズ』、パンテーラ共同創設者のデュランが参加

 アジアを拠点とする新しいF1ベンチャー企業が、5月15日のFIAの期限までに関心表明書を提出し、2025年か2026年のF1参戦に向けて申請を始めようとしている。

『ラッキー・サンズ(LKY SUNZ)』と名付けられた新チームは、“若者に焦点を当てた”チームで、F1における“破壊者”となることを大胆にも目指しており、アメリカのスポーツファンド『Legends Advocates Sports Group』や、アジアの個人および企業から確かな支援を受けていると述べている。チーム名の由来はアジアの伝統にちなんだもので、LKYはLuckyの略であり、SUNZは東から昇る太陽を表しているという。

 ラッキー・サンズはヨーロッパでマシンの製造を行う予定だが、2025年から2026年までに、東南アジアに二酸化炭素排出量ゼロのグリーンエネルギーを利用した、最先端のファクトリー施設を建設することを目指している。

 チームの組織図には馴染みのある名前が見受けられる。共同創設者のベンジャミン・デュランは、2013年から2016年までロシアの富豪ボリス・ローテンバーグがオーナーを務めるSMPレーシングのWECプログラムを運営した。また彼は、以前パンテーラ・チーム・アジアのF1参入計画にも関わっていた。さらに、デュランの共同創設者であり、会長も務めるポール・フレミングとアンドリュー・パイラは、ふたりともパンテーラのプロジェクトに関与していた。

2019年F1第15戦シンガポールGP パンテーラ共同創設者のマイケル・オーツ(左)とベンジャミン・デュラン(右)

 デュランはチームのアプローチについて、F1を破壊するような「若者の文化とレース」を融合したものだと述べ、投資家たちもそのビジョンを共有していると付け加えた。

「F1の人気は飛躍的に伸びているが、それは現在のF1関係者全員の功績だ。しかし我々の指針は、新たなファン層にアピールするために、F1に異なるものを持ち込むことだ」とデュランは語った。

「伝統的なF1の回廊の外側で活動する唯一のチームである我々は、特別なプログラムを開発し、社会的地位の低いコミュニティから才能を引き寄せる。F1ではまだ見られないような、考えの多様性をもたらすことができるだろう」

「もちろんコースでは競争力を発揮することを目指すが、コース外でもファンを楽しませることにコミットしている」

「我々の計画を支援するために、すでにモータスポーツ界の重鎮、音楽とエンターテイメント業界の専門家、クリエイターなどからなる素晴らしいチームが参加しており、このビジョンを実現しようとしている」

 確かに太陽は東から昇るが、ラッキー・サンズは、来月パリのFIA本部付近で永久に西に留まることになるかもしれない。

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