昆虫「死んだふり」北ほど長時間 岡山大チームが英科学誌に発表

あおむけで動かなくなる「死んだふり」をするコクヌストモドキの個体(左上、岡山大の松村健太郎研究助教提供)

 天敵から身を守るために動物が行う「死んだふり」の地域差を昆虫「コクヌストモドキ」で調べ、高緯度に生息する個体ほど死んだふりを長い時間行うことが分かったと、岡山大の松村健太郎研究助教(行動生態学)らのチームが英科学誌に4日までに発表した。死んだふりをする個体の割合も高緯度ほど高かった。死んだふりは「ファーブル昆虫記」に記されるなど古くから知られる生態だが未解明な点が多い。

 チームによると、コクヌストモドキは米や小麦粉を食べる害虫。青森県や沖縄県など全国の計38カ所に設置された「コイン精米機」から採集した。あおむけで動かなくなる状態を「死んだふり」と定義し、木の棒で腹部をつついて様子を観察した。

 死んだふりをした個体の割合は北端の青森県五所川原市で94%、南端の沖縄県の西表島で70%だった。1分を超えて続けた五所川原市の個体数は西表島の約3倍だった。

 天敵となり得る動物の体の大きさは高緯度ほど大きくなる傾向が知られており、その分、天敵に食べられるリスクなどが高くなることが一因とチームはみている。

© 一般社団法人共同通信社