絆のこいのぼり110匹そよぐ 兵庫・西宮

風をはらみ悠々と泳ぐこいのぼり=西宮市下葭原町(撮影・吉田敦史)

 5日は「こどもの日」。兵庫県西宮市の香櫨園地域を流れる夙川では、約110匹のこいのぼりが空を泳いでいる。その多くは阪神・淡路大震災の直後に静岡県から寄せられたもの。地元で大切に思いを引き継いできた。(吉田敦史)

 1995年5月、避難所になっていた香櫨園小学校に、子どもたちを元気づけようと静岡県からこいのぼりが寄贈された。こどもの日に同県人会のボランティアが校庭に揚げ、以降は毎年、地元の住民グループ「香友会」が夙川で掲げてきた。

 生地が傷んで使えなくなると、再び同県から提供を受けるなどして続けてきたが、2020年は新型コロナ禍で中止を余儀なくされた。21年には香友会の竹中高徳代表が亡くなり、リーダーがいなくなった。

 それでも住民らは、静岡からの支援を忘れず竹中代表の遺志を継いでいこうと「こいのぼりの会」を結成。22年に掲揚を再開した。

 今年は4月23日に有志約50人が集まり、阪急電鉄夙川駅から、河口に近い臨港線までの約1.6キロに15本のロープを渡してこいのぼりを泳がせた。同会の代表安田泰儀さん(70)=同市中浜町=は「子どもたちのためにと、いろいろな方が力を合わせてくれることを誇りに思います」と目を細める。今月14日まで掲げる予定。

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