「またがりなど禁止していたが…」サポーター転落で10人重軽傷 “折れた柵”に目立った劣化みられず【続報】

5月3日、Jリーグの試合中にサポーターが観客席から転落した事故を受け、警察は翌4日も転落のきっかけとなった折れた柵などを現地で確認しました。関係者によりますと、柵には腐食などの目立った劣化は見られなかったということです。

【写真を見る】「またがりなど禁止していたが…」サポーター転落で10人重軽傷 “折れた柵”に目立った劣化みられず【続報】

約10mにわたって柵が折れたスタンド 力が加わり折れているのが分かる=5月4日撮影、静岡県沼津市

<中西結香記者>

「きのうの事故を受けて、メインスタンドの最前列も立ち入り禁止の措置をとっています」

3日午後、静岡県沼津市の県営愛鷹競技場で行われた明治安田生命J3リーグアスルクラロ沼津対愛媛FCの試合中に、愛媛の選手が得点を決め、スタンドに駆け寄った際、柵が折れ、サポーター14人が観客席から転落しました。この事故で、愛媛県松山市に住む56歳の女性が左目付近を骨折、その他9人がひじやひざを擦りむくけがをしました。

警察は4日午前も転落のきっかけとなった折れた柵などを現地で確認。折れた柵の幅はおよそ10m。柵から地面までの高さは1.25mほどと判明したほか、施設管理者への聞き取りなどを行ったということです。関係者によりますと、柵には腐食などの目立った劣化は見られなかったということです。

事故はなぜ、起きたのか?危機管理に詳しい常葉大学教育学部の木宮敬信教授に聞きました。

<常葉大学教育学部 木宮敬信教授>

「プロの試合が行われたが、競技場設計の段階でそういった用途は想定していなかったと思う。通常、行政(静岡県)がつくる競技場というのは観戦者よりも競技者向けに設計されているのがほとんど」

静岡県営の多目的競技場として、1996年に開設した愛鷹競技場。2017年からはJ3に加盟したアスルクラロ沼津のホームスタジアムとしても利用されています。木宮教授は開設時はJリーグのスタジアムとして設計されておらず、多くのファンが観戦することは想定していなかったと指摘したうえで次のように分析しました。

<常葉大学教育学部 木宮敬信教授>

「こういった事故は原因を探っていくと『環境面』=施設と『教育』=人の行動をどうコントロールするか、に分けられる。実際にはどちらが事故の原因として多いのかというと、人の行動をどうコントロールするか?にある」

サポーターへの注意喚起は十分だったのか。アスルクラロ沼津はSBSの取材に対して、「観戦の際は柵にまたがることや身をのり出すことを禁止する貼り紙をしているほか、場内放送でも注意を呼び掛けている」と答えました。

© 静岡放送株式会社