ミシュラン掲載の行列ラーメン店、金沢で再出発 都内から移住、篠原さん

改装工事の状況を確認する篠原さん=金沢市天神町

  ●町、人に一目ぼれ

 都内で連日行列をつくっていたラーメン店「麺処 篠はら」の店主篠原啓介さん(36)が金沢に移住し、6月上旬に金沢市天神町に「金沢 麺つみき」を出店する。東京出身の篠原さんは旅行で金沢を訪れた際、町や人の雰囲気、料理に一目ぼれし、Iターンを決めた。金沢に根を下ろし、ミシュランガイドに掲載された味で住民に親しんでもらう。

 新たな店舗は、もともと別のラーメン店があった建物を居抜きで改装する。東京の店の味を踏襲したメニューを提供する予定で、改装と並行して、食材の業者探しを進める。

 篠原さんは都内の大学を卒業後、有名ラーメン店に正社員として勤務し、2015年10月に28歳で独立した。ラーメン激戦区といわれる池袋で人気を集め、1日限定のメニューを出す日には3時間の行列ができた。

 店は17、18年のミシュランガイドで、5千円以下でおすすめの食事を提供する「ビブグルマン」に選ばれた。ミシュランでは、豚骨や鶏をベースにシジミやハマグリなどのだしを合わせた「醤油そば」が取り上げられた。

 昨年8月、入居していた建物が取り壊されることになったため閉店すると、妻とともに同年秋に金沢市内に移住した。

 篠原さんが新たな一歩を金沢で踏み出したいと考えたのは、「落ち着いた雰囲気や、人付き合いで適度な距離感を保つ土地柄が肌にあった」からだ。

 新しい店舗はカウンター8席、テーブル8席で、当面は1人で切り盛りするため席数を絞り、昼営業のみ、不定休とする。改装費用は北國銀行や日本政策金融公庫金沢支店が融資した。

 篠原さんは現在、卵をはじめとする物価高の影響で食材選びには苦労しているが、「店名の『つみき』はいろいろな食材を積み重ねた味にしたいとの思いで名付けた。良い物を使っていく」と意欲を見せた。

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