「團十郎」に負けぬ熱演 小松で日本こども歌舞伎

勧進帳で「智仁勇」の物語を表現する子供役者=石川県小松市團十郎芸術劇場うらら

  ●白猿さんメッセージ映像「地域の魅力、舞台に」

 第24回日本こども歌舞伎まつりin小松(北國新聞社特別協力)が4日、石川県小松市團十郎芸術劇場うららで開幕した。この会場で3月に襲名披露巡業を行った歌舞伎俳優十三代目市川團十郎白猿(はくえん)さんのメッセージ映像が披露され「地域の魅力が凝縮された素晴らしい舞台となることを期待している」と出演者を激励。小松の児童生徒は「團十郎」の名を冠した舞台で巡業の演目と同じ「勧進帳」に臨み、本家に負けぬ気迫あふれる表情で堂々と演じきった。

  ●「勧進帳」堂々

 團十郎さんはメッセージ映像で、小松との縁が30年以上続いていることを挙げ「團十郎の名前が入った劇場で多くの子どもたちが舞台を踏み、伝統を受け継いでいくことをうれしく思う」と語った。続いて宮橋勝栄市長は「團十郎さんとしっかり連携して小松の伝統をつくっていきたい」とあいさつした。

 エールを受けた子供役者は、弁慶と富樫の山伏問答といった見せ場をはじめ、疑念を晴らそうと金剛杖(こんごうづえ)で主君を打つ弁慶、義経一行と知りつつ見逃す富樫の心を表現。地元の「安宅の関」を舞台にした「智仁勇」の物語で、観衆約700人を引き付けた。

 團十郎さんと同じ弁慶を演じた菅原小春さん(芦城中1年)は「メッセージに励まされた。5日はもっと上手に一生懸命頑張りたい」と意気込んだ。

 富樫役の鈴葵陽(あおい)さん(丸内中1年)は「せりふもつまらず全力を出せて良かった」、義経役の幅田結衣さん(芦城中1年)は「笠(かさ)が取れたけどカバーしてやりきれた」と振り返った。

 今回、富樫と義経はダブルキャストで、鈴さんと幅田さんは5日の千秋楽に役者を支える後見を務める。

  ●お旅まつり役者観覧

 客席では、12~14日開催の「お旅まつり」で曳山(ひきやま)子供歌舞伎を上演する大文字町の子供役者も観覧した。山田桜子さん(金沢市戸板小5年)は「私もきびきびと頑張りたい」と決意を新たにした。

 特別ゲストの歌舞伎俳優片岡千之助さんは「道成(どうじょう)寺(じ)」で時にしとやかに、時に軽快に舞った。東京の日本伝統芸能振興会伝創館こども歌舞伎は「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ) 足利家奥御殿の場」を、前橋市の「美登利(みどり)会」は歌舞伎舞踊長唄「雨の五郎」「手習子(てならいこ)」を披露した。

 公演は動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信された。5日も同じプログラムで午後0時半開演となる。

 劇場内には開館10周年を迎えたこまつ曳山交流館みよっさに関する展示のほか、茶会、前橋市の物産コーナーが設けられた。

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