鮮度と安心でニーズつかむ 国産原料フレッシュペットフード 産地開示、規格外活用も

素材の透明性を追求し、原料産地の情報などを開示するフレッシュペットフードの「バディフード」(鹿児島市で)

ペット関連市場が伸びる中、鮮度と食味に優れるフレッシュペットフードが存在感を高めている。国産原料を使った上で、産地を特定したり、危害分析重要管理点(HACCP)取得の工場で作ったりするなどして「ペットに安全・安心な食べ物を提供したい」と望む飼い主の支持を集める。規格外農畜産物の活用に結び付き、農家の所得向上にも貢献する。

鹿児島市のペット関連企業、バディケアは、犬向け総合栄養フレッシュフード「バディフード」をサブスクリプション(定額販売)サービスで展開。原料の黒毛和牛肉やサツマイモ、カボチャなど、肉や魚、野菜は、鹿児島県を中心に九州産が9割を占める。

年商1億円を突破

「犬も食べられる冷凍総菜」として2021年9月の発売以来、毎月販売が伸び、年商は1億円を突破。犬向けの療法食も扱い、獣医師と連携することで顧客は全国に広がっている。

同社の原田和寿代表は支持される背景として「人の子どもと同じように、愛犬の健康状態に配慮した安全でおいしい食事を与えたいというニーズが高い」と説明する。

ペットフードの基準を満たした上で、日本の食品表示基準で原料産地の情報を開示。「安心して食べさせられる」「食の細い病気の子もよく食べた」などと、リピーターになる顧客が多いという。

HACCPにも対応

「バディフード」の素材は青果卸に加え、契約農家から規格外品や未利用部位を仕入れる。「産地に近い方が鮮度やコストに優れ、衛生管理や商品開発などの面で有利」(原田代表)として薩摩川内市の食品加工業・アトスフーズの工場で製造する。同工場はHACCPを取得済みで、衛生管理を徹底する。

健康志向で市場は活況

ペットフード協会(東京都千代田区)によると、国内のペットフード市場は3500億円強(2021年度)で6年連続で拡大している。

市場拡大の背景として、同協会は新型コロナウイルス下の生活様式の変化で犬猫を新たに迎える人が増えたことを挙げ「人間同様にペットへの健康意識も高まっている」と指摘。「国産やオーガニックなど、付加価値のある高単価商品が伸びている」と分析する。(柴田真希都)

<ことば> フレッシュペットフード

低温加熱で素材のうま味を温存し、冷凍流通で鮮度を保ったペットフード。関連企業の推計によると、国内のフレッシュペットフード市場の規模は50億円弱。ペット市場全体に占める割合は1%程度とまだ小さいが、米国では市場全体の20%までシェアが伸びているといい、日本でも利用者が増えている。

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