成田悠輔氏&久保田直子「ソレいる?六本木会議」がテレビ視聴スタイルに一石を投じる実験的放送を敢行!

テレビ朝日の「バラバラ大作戦」枠で放送中の「ソレいる?六本木会議」(木曜深夜2:47、関東ローカル)。米・イェール大学助教である成田悠輔氏と同局の久保田直子アナウンサーが忖度(そんたく)なしの議論を繰り広げる同番組では、5月4日放送・第5回で、特別編として「未来を憂う若者の悩みに寄り添う会議」と銘打ち、大学生の素朴な悩みや疑問に成田氏が答えた。世の中にあふれる「ソレいる?」をテーマに、放送開始から「古き悪しきテレビ番組の風習」に切り込んできたが、今回は何かがおかしい。一体何が起きたのか!?

過去4回と同様、成田氏と久保田アナがスタジオでトークしているが、声のトーンや身振り手振りに違和感が。中盤になって、なんと2人のトークが冒頭から1.2倍速再生だったということが明かされたのだ。もともとゆったりしたテンポで話していたからなのか、内容が聞き取れないことはない。むしろ倍速で動画を視聴することに慣れている人にとっては、心地よいスピードに感じるのかもしれない。しかし、落ち着いていられるのもつかの間、終盤に向かっていくにつれて、再生速度は増していく。

成田氏が率いる「ソレいる?六本木会議」は単なるトーク番組を目指しているわけではなさそう。第2回では、成田氏の「裏側こそが面白い」という発言を真に受け、ケータリングにパクつく成田氏や、スタイリストと話し込む久保田アナなど、なかなか見ることのできないシーンをはさみ込むなどしてきた。

今回の放送で悩みや疑問を持ち寄った大学生たちは、実は、第2回の放送にも登場していたが、そこで彼らはワイドショーに対して「長い」「(見るのは)コスパが悪い」と指摘。時間対効果(=タイムパフォーマンス)が重視されがちな現代では、動画コンテンツは当たり前のように倍速視聴されるというのに、テレビ番組はいつまでタイパの悪いことをしているのか?と、糾弾したのだ。

さらに、番組の打ち合わせでは、成田氏が「倍速で流すとかいいんじゃないですかね」とまで言ったことで、その言葉を制作陣がそのまま受け取り、「確かに、どうせ倍速視聴されるなら…」という、単純な思考回路で今回の倍速放送に至った。

昨今は再生速度を遅くできる動画配信プラットフォームも増えている。そこで重要なのは、多くの視聴者にとって見やすい動画再生速度がどれくらいなのか?ということ。収録時そのままの会話のスピードがベストではなくなってきているのかもしれない。最近は意図的にセリフを早口にしている芝居や、早口なナレーションのCMが増えている印象もある。

「短時間のうちにより多くの情報を受け取りたい」という思考の先には、倍速放送がメインとなったテレビ番組があるのだろうか。そんなことを考えながら見る、実験的な回となった。

© 株式会社東京ニュース通信社