体操女子、加藤(宇短大付)団体と2冠 男子の吉田(作新)も2冠 栃木県高校総体

体操女子 団体と個人総合で優勝した宇短大付・加藤の床運動=日環アリーナ栃木

 県高校総体は4日、宇都宮市の日環アリーナ栃木ほかで体操、バレーボールなどが行われ、体操女子は宇都宮短大付の加藤陽莉(かとうひまり)が段違い平行棒、平均台を制し、個人総合46.900点で連覇した。残りの跳馬、床運動は同校の伊藤凜(いとうりん)が頂点に立ち、団体連覇も果たした。

 男子は作新学院が全6種目を制し団体優勝。床運動、つり輪、平行棒でトップの吉田優生(よしだゆうせい)が個人総合78.800点で2冠を手にした。

 バレボールは男女の1,2回戦が行われ、16強がでそろった。

恐怖心克服し復活 体操女子・加藤(宇都宮短大付)

 2種目目の段違い平行棒をミスなく終え、大きく息をついた。体操女子の加藤陽莉(かとうひまり)(宇都宮短大付)にとって苦い記憶が残るこの種目は「トラウマを乗り越える」ための試練だった。

 昨秋の県新人大会は同種目で落下し、右肘の靱帯(じんたい)を断裂した。手術を経て、本格的に練習を再開したのは今大会の1カ月前。「しっかりやってきた人に負けちゃうんじゃないか」。倒立で体を支えられず、鉄棒にも上がれない。再起には不安しかなかった。

 足りない練習量は「楽しむことが大事」と強い気持ちで補った。迎えたこの日の復帰戦。段違い平行棒の上段から下段に手放しで飛び移る技をクリアした。前回失敗した鬼門で「自信を取り戻した」と恐怖心に打ち勝ち、着地まで完璧に決めた。

 苦手な平均台もノーミスで、個人総合優勝をつかんだ。「点数は伸びないけど自分らしさを出せる。一番好き」と笑顔で振り返ったのが、最終種目の床運動。表現力を意識したダンスに、ありったけの気持ちを乗せた。

 昨夏は全国総体の団体で同校最高の8位入賞に貢献。今年は3年生となり、集大成の一年。結果を追い求めながら「どの種目でも、見ている人に元気を与えられる演技をしたい」。復活したオールラウンダーが、観衆の目をくぎ付けにする。

体操女子団体優勝の宇短大付。右端は個人総合優勝の加藤
体操男子団体優勝の作新。右端は個人総合優勝の吉田

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