末期がんの母癒やそうと指圧師に 宇都宮の野上さん「指圧愛好会」設立

施術する日本指圧愛好会会長の野上さん

 【宇都宮】指圧を通じて地域社会に貢献しようと、富士見が丘3丁目のあん摩マッサージ指圧師、野上有子(のがみゆうこ)さん(50)がこのほど、日本指圧愛好会を発足させた。指圧師を志したのは、末期がんだった母の足をマッサージしたことがきっかけ。7日には、健診・検診の重要性を周知して健康づくりを推進する「女性の健康支援事業」をJR宇都宮駅東口交流広場で初開催し、指圧体験や共催団体による健康相談を行う。

 野上さんは県医師会事務局の元職員。2006年、末期がんで入院した母を癒やしたいと、足のリフレクソロジーを半年間勉強した。会話ができない状態になっても、マッサージで心が通じ合えたと感じた。

 母を亡くし、しばらくは「思い出してつらくなるのでマッサージを避けていた」。だが、東日本大震災で医師や看護師が活動する姿を目にし、ボランティアでもニーズが高い医療系の国家資格の取得を決意した。

 医師会事務局を退職後、17年から都内の指圧専門学校に週6日、3年間通学し、国家資格「あん摩マッサージ指圧師」を取得した。卒業後は「心と体をリラックスできる指圧カフェをつくりたい」と考え、元同僚の女性が経営するカフェに施術スペースを併設して開業した。

 新型コロナウイルス禍でもカフェのお客さんが利用してくれるなど、地域のつながりの大切さを実感。指圧を通して仲間づくりや健康づくりを進めるため、市内外の指圧師や団体職員など7人で日本指圧愛好会を立ち上げた。

 初の催しは、開催月にちなみ「母の日月間イベント」として企画。無料の指圧のほか、共催するNPO法人「サロンみんなの保健室」の保健師や看護師が健康相談を実施する。また内科の医師による健康講座も予定している。午前10時半~午後3時半。

 野上さんは「健康づくりと同時に、指圧の正しい知識も知ってもらいたい」と話している。

 (問)野上さん080.1370.0408。

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