札幌ラーメン支える「西山製麺」さらなる進化の可能性!?

今回紹介するのは、「西山製麵」。札幌のラーメンを語る上では欠かせない存在だ。ことしで創業から70年。業務用ラーメンの分野では全国トップクラスの企業だ。

【製麺工場 縮れ麺の秘密は?】

西山製麺の従業員数は、正社員パート合わせて220人ほど。コロナの影響もあって昨年度の売り上げは40億円を下回ったが、今期は45億円ほどに回復する見通しだ。製品の9割以上はラーメンだが、実はうどんやそば、ギョーザの皮も製造・販売する意外な一面も。

まず見せてもらったのは、ラーメンづくりのスタートとなる原料を投入する機械。国産と海外産の小麦粉を入れ、そこに粉末状の卵白やかん水を含んだ水を加え混ぜ合わせる。

西山製麺といえば、縮れた黄色いタマゴ麺が有名だが、その麺が作られる仕組みを見せてもらった。先ほどの小麦粉などを混ぜ合わせた原料をローラーで延ばして帯状にする。

そして帯状にしたものを重ね合わせ、機械の中で熟成させる。熟成させることによって、含まれている空気が抜けて麺が締まり、伸びにくくなるのだという。

この後熟成させた麺の塊を薄く延ばし、カットしながら縮れを付ける工程に移る。

縮れる理由は、歯の裏側に取り付けたゴム。ゴムがあることによって、麺を押し戻そうとする力が生まれる。その力によって麺が中でたまり、あふれ出るようにして縮れができるのだ。

縮れた麺は1食ずつ小分け。包装し、箱詰めすれば作業は完了だ。1日に製造する量は多い時で15万食に上る。製造する麺はなんと、常時200種類以上だ。

【会社には調理室 MC杉村太蔵がラーメンづくりに挑戦!】

社内にあるのが、開業支援のためのスペース。ラーメン店さながらの厨房機器を用意していて、年間20~30件の利用があるのだという。番組MCの杉村太蔵さんがラーメンづくりに挑戦させてもらった。

麺の湯切りを教わる杉村太蔵さん

湯切りなどをひとつひとつ教わりながら、西山製麺の縮れ麺を使った見事な札幌ラーメンが出来上がった。

【麺づくりだけでなくコンサルも? 札幌ラーメンさらなる進化の可能性】

1971年創業のラーメン店「満龍(まんりゅう)」。ススキノを中心に4店を構える札幌ラーメンの老舗だ。

その満龍を訪れたのは、入社28年目のベテラン営業マン、約300店を担当する山下さんだ。満龍といえば、もやしにメンマ、生ワカメにねぎをトッピングした伝統的なみそラーメンが看板。ただ、この日山下さんは、ある狙いがあってここへやってきた。

取り出したのは、西山製麺が取引先のラーメン店向けに作っている情報誌。この日は、夏に出す期間限定メニューの提案にやってきた。

ここ満龍は創業以来一貫して西山製麺特注の麺を使い続けているが、店では使っていないタイプの麺も提案する。早速試作してみることに。満龍の石川社長は「夏だとこういうさらっとした麺が、女性には特に好まれるのではないかと思う」と感想を述べた。

製麺会社といえばもちろん、麺をつくってラーメン店に卸す仕事が柱ではあるのだが、実は、それ以上に大事なのが、取引している個々のラーメン店を支え、ともに課題を解決していくコンサルティング能力だという。

西山製麵の西山社長は「札幌・北海道は人口減少が喫緊の課題だ。海外からのラーメン人気が高いのでそこを取り込む必要がある。変わり種では『カルボナーララーメン』などの開発も行っている。海外展開を進めていきたい」と話す。

西山製麵は1975年に海外に進出し、ドイツなど35の国と地域に販路を持っている。今後さらなる展開をするために外国人社員を増やしたいという。

札幌ラーメンを支える、「西山製麵」。ラーメン人気が高まる中、“札幌”のブランドも高まっていくだろう。
(2023年5月6日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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