陸自、防衛体制の立て直し課題 事故1カ月、幹部同時不在に衝撃

沖縄県・宮古島沖の事故現場海域から引き揚げられた陸自ヘリの機体=2日

 沖縄県宮古島付近の10人乗り陸上自衛隊ヘリコプター事故は6日で発生から1カ月となった。6人の死亡が確認され、依然不明の4人の捜索が続く。陸自では、第8師団の坂本雄一・前師団長(55)ら南西諸島の防衛体制強化を担う部隊幹部を同時に失った衝撃が深く、早急な体制の立て直しが課題になっている。

 「穴をあけず任務継続できる体制だが、何の影響もないとは思っていない」。防衛省制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長は発生から1週間の4月13日、記者会見で危機感を口にした。

 第8師団は熊本、宮崎、鹿児島3県の防衛・警備に加え、有事には南西諸島に展開する役割を担う。陸自内では訓練の厳しさや、評価の高い人材がトップに就くことで知られる。吉田氏もかつて師団長を務めた。

 自衛隊では一般的に「誰が欠けても活動に支障はない組織づくり」をしていると説明されるが、陸自トップの森下泰臣陸上幕僚長は「隊員が精神的に弱くなっている部分もある」と語り、師団幹部らが不在となった痛手を率直に認める。

陸自ヘリ事故の捜索活動のため沖縄県・伊良部島の港を出る自衛隊員=5日午前

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