「“引き出し”を使って」 上田桃子はプロ400戦目で念願のメジャー初Vなるか

上田桃子は耐えながらパープレーにまとめ、優勝争いに名乗りを上げた(撮影/和田慎太郎)

◇国内女子メジャー◇ワールドレディスサロンパスカップ 3日目(6日)◇茨城GC西コース◇6780yd(パー72)◇晴れ(観衆7164人)

今季の国内メジャー初戦で節目のプロ400試合目を迎えた上田桃子が、念願のメジャー初制覇のチャンスを引き寄せた。11位スタートから3バーディ、3ボギーの「72」にまとめ、通算4オーバーの3位に浮上。スタート時には8打あった首位との差を4打まで詰め、最終組の1組前から逆転を狙う。

午前10時40分にスタートした上田は、最初の1番をプレー中に「腹をくくる」覚悟を決めたという。午後1時前に最大瞬間風速15.3m/sを記録した上空を舞う風が、刻々と強まる時間帯。フェアウェイから130yd先のピンを9Iで狙った2打目は、「強いアゲンスト」と読んだ風とは異なり、右からの強い風に流されてグリーン左のバンカーへ。「フェアウェイから9Iで乗らない。私のなかで今日は『全英』。予定通りにいかないと思い、1番で半ばあきらめて腹をくくった」と耐えるゲームプランに固め、ボギー覚悟の手前から攻めるプレーに徹した。

崩れかけても粘りのプレーで流れを戻す(撮影/和田慎太郎)

3番(パー5)でピン手前4mにつけるバーディで取り返すと、5番(パー5)ではグリーン奥エッジからの4打目をパターで6mを流し込みガッツポーズ。フォローの風が吹く6番(パー3)は1打目がグリーンオーバーで1つ落としたが、「ボギーを打っても受け入れながら。次、次という気持ちでやっていた」と前を向く。1打目を右のラフに打ち込んだ9番では、ピンまで130ydの位置で8Iを手にした。低いボールで前方の木の枝を避けながら手前から転がし、ピン右5mにつけるスーパーリカバリー。バーディは逃したものの大きな歓声を呼び込んだ。

毎ホールがしのぐプレーの連続(撮影/和田慎太郎)

「メンタル的には全部(のホールで)しのいでいる感じだった」と耐え続け、この日イーブンのまま迎えた最終18番でもピンチを迎える。9番と同じく右ラフから前方の木を避けるために9Iで低く出したが、枝に当たり大きくショート。それでも45ydの3打目をピンそば1m弱につけ、優勝戦線に踏みとどまる価値あるパーセーブで締めくくった。

手前からのプレーを徹底しながら3バーディを奪取(撮影/和田慎太郎)

ツアー通算17勝、歴代賞金女王の上田に欠けている唯一のピースともいえるメジャータイトル。「頭で考えても思い通りにいかないのが、今週のセッティングでありメジャー。いろいろと受け入れて、最後まであきらめないでプレーすることを心掛けたい」。最終日は強風に加え、一日中雨が降り続ける予報。荒天に備えて最終組のスタート時刻は午前8時10分と大幅に早まり、コース状況はさらに過酷さを増す可能性もある。

「400試合もやってきているのだから、ある程度の“引き出し”を使ってあしたは戦えればいい」。国内外のツアーで長く積んできた経験と磨き続けてきたスキルは、さまざまな対応力が求められる状況でこそ誰にも負けない武器になる。(茨城県つくばみらい市/塚田達也)

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