ストリートピアノ 学校生活彩る 玉野・宇野中 CFで修繕、設置

 玉野市立宇野中(同市築港)に始業前や昼休み、放課後の空き時間に自由に演奏できる“ストリートピアノ”が設置された。市内の保育園などで約70年使われてきた古ピアノを、同中PTAなどがクラウドファンディング(CF)で費用を募り修繕。生徒たちは、新たな息吹を吹き込まれたピアノの音色を楽しんでいる。

 箱形のアップライトピアノは校舎1階の多目的スペースに3月末に設置。生徒たちが次々に座ってはクラシックの名曲やアニメの主題歌を奏で、ピアノを囲むように自然と輪ができる。1年松本菊代さん(12)は「入学したばかりで少し緊張もしていたけれど、友達と連弾するなど仲良くなるきっかけをつくってくれる」と笑顔を見せる。

 ピアノは市社会福祉協議会が1956年に市内の保育園へ寄贈し、市立施設で使われてきたが、老朽化などで昨春以降は廃棄を視野に市が管理。ピアノの存在を知ったPTA会長の岩崎康博さん(45)=同市=が、何とか活用できないかと知人が代表を務める岡山市内の音楽教育グループ・あい音に相談し、山陽新聞社や中国銀行などの「晴れ!フレ!岡山」のサービスを利用したCFに乗り出した。

 反響は大きく、2月の開始直後に当初目標の35万円に達し、最終的には53人から約70万円が寄せられた。調律やペダルの調整を終えたピアノは、軽やかな音色で生徒たちの学校生活を彩っている。

 「多くの人の思いで設置してもらえたピアノを大事にし、音楽を身近に感じられる魅力的な学校にしたい」と生徒会長の3年石井友悠さん(14)。今後は寄付者の名前を記したプレート設置、あい音とのイベント開催などを計画中で、岩崎さんは「想像以上に幅広い支援をいただいた。ピアノを使い、学校と地域を結ぶ活動にも取り組みたい」と話している。

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