「厚木駅」なぜ海老名に? 神奈川・海老名の鉄道史ひもとく企画展

小田急線の開業時に作成された沿線名所図絵の複製=海老名市温故館

 海老名市温故館(同市国分南)で、同市内の鉄道の歴史を解説した企画展「えびな近代鉄道物語」が開催されている。3月に相鉄・東急直通線が開業し、相鉄線海老名駅では同月、北口が新設されたことにちなみ、市教育委員会が主催した。入場無料、6月25日まで。

 市教委によると、市内の駅は相鉄の海老名、さがみ野、かしわ台、小田急の海老名、厚木、JR相模線の海老名、厚木、社家、門沢橋と計9駅も存在する。

 市内で最も早く鉄道が敷かれたのは、1926(大正15)年に神中鉄道が二俣川駅~厚木駅(海老名市河原口)で開業した路線。現在のJR相模線に当たるルートでは寒川まで北上してきた路線が同年、厚木駅(同)まで延伸された。小田急は27(昭和2)年に開業した。

 「厚木」駅が、厚木市内ではなく海老名市内にある「なぞ」についても企画展では取り上げた。「厚木」駅の所在地の「河原口」よりも相模川の対岸で栄えていた「厚木」とした方が「乗客が増えて電車賃が取れると考えた」と解説している。一方、「海老名駅」は41(昭和16)年に神中鉄道で設置されたのが最初だという。

 大正から昭和にかけて、コンクリート材料として相模川で盛んに砂利が採取され、鉄道で都内や横浜へ大量に運んだ歴史も紹介。

 同時に、この時期には観光ブームが起こり、鉄道各社が鳥瞰(ちょうかん)図を使った沿線の観光パンフレットを作成。鳥瞰図絵師で「大正の広重」と呼ばれた吉田初三郎が小田急開業時に描いた「小田原急行鉄道沿線名所図絵」(ロマンスカーミュージアム蔵)の複製や、大山や江の島などがカラー印刷された楽しげな観光パンフレットも展示されている。

 市教委では「近代に鉄道3社が乗り入れたことが海老名の発展のもとをつくったことを知ってほしい」と来場を呼びかけている。

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