紅花染めの米沢織、一丸で発信 繊維協の加盟事業所、栽培・協力し新製品に

米沢織に携わる各事業所がプランターで紅花を栽培、協力して紅花染めの製品をつくる=米沢市

 紅花をテーマにした米沢織の魅力発信に取り組んでいる米沢繊維協議会(会長・近藤哲夫近賢織物社長)は今年、紅花染めで仕上げた製品の発信に力を入れる。着物や帯など「和」のブランド力に加え、紅花染めの米織に「洋」の魅力を広くアピールする新たな取り組み。加盟する全55事業所がプランターで紅花を栽培し、共同で紅花染め製品に仕上げるほか、各事業所で県産紅花を使ったオリジナルの新製品を手がける。

 紅花は、県紅花振興協議会が生産や染色用加工技術に関して世界農業遺産への認定を目指すなど、注目が集まっており、和服を中心に織物業界とも関わりが深い。同協議会には着物や洋服地の製織、染色、デザイン、糸商、卸売りなど米沢織に携わる多様な事業所が加盟しており、共通のテーマを設定して会員同士の交流を深めるとともに、洋服地を含めて紅花の利用拡大を探ろうという狙いだ。

 プランターで育てた紅花は夏に収穫し、乾燥させた上で事務局に持ち寄る。その後、加盟事業所が協力し、糸を染めて着物やストールの製作に活用する予定だ。

 作品は10月に京都で開催する業者向けの品評会「米沢織きものグランプリin京都」で展示を予定している。県産紅花を使ったオリジナルの新製品は市内の事業所が染色した糸を使い、個々の事業所が既に取り組んでおり、共通のラベルを貼って売り出していく。

 プロジェクトを担当する斎英織物取締役の斎藤正文さん(38)は「先人が築いてきた紅花の歴史の重さを改めて感じている。取り組みを通して米沢織を盛り上げたい」と話している。

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