各地の食卓彩る赤い実 春トマト、収穫最盛期 宇都宮

選果場での箱詰め作業

 【宇都宮】収穫最盛期を迎えた春トマト。ゴールデンウイークも作業に追われる上籠谷町のトマト農家岡本直樹(おかもとなおき)さん(51)方に6日、お邪魔した。

 ハウスに入ると、大人の背丈を超えるほどに伸びて重なり合った幹や枝葉が目に飛び込んできた。ハウスを横断する緑色の巨大なカーテンのようだ。一つの幹で15カ所に花を咲かせるため、幹を高く伸ばし、さらに横に広げて約4メートルにもなる。

 岡本さんは春トマトをハウス50アールに栽培し、1月半ばから6月末まで出荷する。同日は午前8時半から、家族や従業員計5人で作業。3人が収穫し、2人が枝葉を手入れした。

 収穫はトマトの色づきを見極めながら、一つずつハサミで摘み取る。岡本さんは「温度などの環境管理は重要。特に冬はその後の出来を左右するので、温度や湿度、空気中の二酸化炭素濃度などに注意しています」と話す。この日の市内は夏日となり、外気温が29度まで上昇。暑過ぎるとトマトに良くないため、屋根の一部を開けて熱を逃した。

 午後4時までに約160ケースを収穫。岡本さんはつややかに光る実を手に「こういう実の締まったトマトをシーズンを通じて安定して収穫できるとうれしいね」と笑顔を見せた。

 収穫されたトマトは同町にあるJAうつのみや東部選果場へ運ばれる。学校の体育館ほどの建物の中に選別から出荷までのレーンが張り巡らされる。箱詰め用の段ボールがあちこちに並び、工場を思わせる。

 2日に訪れると、トマトや箱が次々とレーンを流れていく様子が見えた。選果や箱の組み立て、ひもかけなどは機械で自動化される一方で、運び込まれたトマトを選別機に流す時と箱詰めは手作業だ。従業員が慣れた手つきでトマトを並べていく。

 「出荷ピークのときは、選果が夕方までかかることもあります」。同選果場の塩原悠太(しおばらゆうた)さん(25)が教えてくれた。大きさ別に箱詰めされたトマトはトラックに荷積みされ、市内のほか東京や埼玉の市場に出荷された。宇都宮で育った赤い実が、各地の食卓に届くのが楽しみだ。

収穫の最盛期を迎えている春トマト

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