<ライブレポート>NOA、初のワンマンライブで新曲「BURN」含む計16曲披露

NOAの初のワンマンライブ【NOA 1st LIVE “NO.A” TOUR IN TOKYO】が2023年5月6日、東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された。本稿では昼公演の模様をお伝えする。

2022年10月~12月に放送されたTBS系ドラマ『君の花になる』で7人組ボーイズグループ“8LOOM”のメンバー・久留島巧を演じてブレイクしたNOAは、自分の名刺代わりになる作品、自身のスタートラインと命名したアルバム『NO.A』を今年2月にリリースした。アルバムリリース時に「(この日の)ライブの演出も考えて曲を作った」と話しており、その思案がついにお披露目された。

自分の未来は自分で切り開くという意志の強さや覚悟を込めた「It Ain’t Over」でライブは幕開け。ビートが際立つアレンジが加わったライブ仕様で、まさにここから自身が目指すゴールまで走り抜けていくという決意が感じられた。ドープなサウンドが会場を満たしていくなか、NOAのカラーでもある紫色のペンライトもリズムよく応えていく。ドラマ内で見せたキュートな一面とは一線を画するアーティスト像で会場に集まったNOANAたちを序盤から魅了した。

途中から参加したダンサーたちと「Don’t Waste My Time」で息の揃ったダンスを見せつけると、“NOA君”コールが至る所から沸き起こる。「今日は初めてのワンマンということもあって、すごく楽しみにしていました。今日は盛りだくさんなので、一瞬一瞬、見逃さずに最後まで楽しんでください。盛り上がる準備はできていますか?」と感情の高まりを抑えきれないNOANAたちを一段と盛り上げて、ニュー・ジャック・スウィングを取り入れた「Runaway Love」へ。女性ダンサーたちも加わり、ストリートで繰り広げられる若くて甘酸っぱい恋の駆け引きがステージ上で展開していった。

『君の花になる』終了後にリリースしたスタイリッシュなダンスR&Bナンバー「Just Feel It」が流れると、フィーチャリングしているAyumu Imazuがステージに現れ、予想外のゲストの登場に会場はヒートアップ。両者の高いダンススキルと甘い歌声がぶつかり合う最高にクールな時間が届けられた。この日が二人一緒にパフォーマンスする初めての機会となり、「曲がリリースされてから、『いつ誘われるのかな?』ってずっと思ってて……今日、こんな最高のステージに誘ってもらえて、楽しかったです」というAyumuの挨拶に、NOAもNOANAも大喜びだ。

中毒性高いビートが特徴的なダンスナンバー「Step Back」では、NOAが得意とするダンスが炸裂。バックスクリーンに映る灼熱の太陽がパフォーマーとオーディエンスの体温の上昇を反映しているようだった。アグレッシブな姿は一旦お休みして、アルバムの中でもNOAが特に思い入れのあるという「Bad At Love」では、目覚まし時計のアラームとともに起き上がるNOAが「一日中君のことを考えているんだ。君のことが好きなんだ……よかったら付き合ってくれない?」という本音を伝えようか、伝えないか、という自分との戦いをキュートに表現。続く「To Be Honest」では、勇気を出して意中の相手に電話をかけて、本心を伝えるという、ちょっとしたストーリーも見せてくれた。

「NOA君カッコいい!」という黄色い声が飛び交い、「ありがとう。僕も大好き」と返すNOA。事前に伝えていた「Paradise」の振り付けを、9割9分のNOANAたちがマスターしてきているところから気合いが感じられる。オレンジ色のペンライトが混じるオーディエンスとともに「Paradise」で少しクールダウンしたNOAは、「Ticket」「Fireworks」と、アルバム終盤曲を披露し、ここでは“聞かせる”NOAを演出。各地をドライブした「TAXI」では、文字通り<嫌なことなんか忘れて/share this moment>を体感させてくれた。

ここまで多様な面を見せてきたNOAは、「最高に楽しい時間をありがとうございます。皆さんのおかげです」と感謝を述べ、新曲「BURN」を会場に集まったNOANAに一足先にプレゼント。「今の自分だから思うこと、伝えられることを詰め込んだ一曲です。今までとは違った一面を曲やパフォーマンスを通してお見せできるんじゃないかと思っています」と説明し、<I’m burning my heart for you, nobody can’t stop>と煮えたぎる使命をダンサー8人と表現し、その熱いパフォーマンスにオーディエンスたちが飲み込まれていくのが見えた。

続く「Lonely Hearts」は90年代、はたまた2010年代の海外アイドルを思わせるシンセポップで、手で目を隠したり、まるで心臓を差し出したりするようなダンスが目を引いた。(パフォーマンス終了後にNOAが息を整えている間、「NOA君の新曲覚えるよー!」という男児の声が聞こえ、会場もNOAもきゅんとさせられたことは記しておきたい。)

本編最後に用意したのは2020年1月にリリースしたデビュー曲「LIGHTS UP」。コロナ禍によって思うような活動ができなかったNOAは「デビューする前に思い描いていた当たり前のことが急に全部当たり前じゃなくなって、悩んだし、全てが嫌になったこともあったし、こうやってアーティストとしてライブができる日が来るのかなって思っていました」と吐露。少しずつ落ち着きを取り戻した世界は、コロナ前に戻ろうとしており、国内ではライブでも声出しできるまでに復活した。そうした時期を音楽制作しながら過ごしていたNOAから「こうやってみんなの前に立って歌えること、みんなの声を聞きながら、顔を見ながらライブをやれることが本当に幸せなことなんだって(気づきました)。何があっても乗り越えれば、また明日から始まる日々の中で大変なことがあっても、みんなと一緒に乗り越えられると今日確信しました。本当にありがとうございました!」と感謝のメッセージが送られ、オーディエンスも拍手でエールを贈る。

一旦ステージを後にしたNOAだったが、アンコールを求める声援が徐々に大きくなっていき、ショーは「Highway」で再びスタート。ツアーTシャツに着替えたラフなパフォーマンスで、軽やかなサウンドがリスナーの背中もNOAのそれも押しているように感じる。

最後はNOAにもNOANAにも大切な一曲「Purple Sky」。つらい時期にNOANAの存在に助けられたこと、NOANAのおかげで見ることができた夢の続きをこれから見せていくことを誓う彼の心の内が、パープル一色に輝く光景を目にしながらストレートに伝わってきた。最後の最後にNOAが見せた屈託のない笑顔が、何よりもこの日彼がつかみ取った確信や経験を物語っていた。

NOAは5月12日の香港を皮切りに、台北、バンコク、ソウルで初のアジアツアーを開催。9月9日と10日には、初のアリーナ・ライブとなる有明アリーナ公演が控えている。

Text by Mariko Ikitake
Photos by 鳥居洋介

◎セットリスト
【NOA 1st LIVE “NO.A” TOUR IN TOKYO】
2023年5月6日(土)東京・EX THEATER ROPPONGI
1. It Ain’t Over
2. Don’t Waste My Time
3. Runaway Love
4. Just Feel It feat. Ayumu Imazu
5. Step Back
6. Bad At Love
7. To Be Honest
8. Paradise
9. Ticket
10. Fireworks
11. TAXI
12. BURN
13. Lonely Hearts
14. LIGHTS UP
<アンコール>
15. Highway
16. Purple Sky

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