糸の芸術 見に来て パラグアイの伝統刺しゅう 関西初、展示会

展示会を主催する千森さん

 南米パラグアイの伝統レース刺しゅう「ニャンドゥティ」を広く知ってもらおうと、教室やデザイン、販売を手がける「ニャンドゥティアカデミーkerana」が11日から、大阪駅前第2ビルで関西初の展示会を開催する。14日まで。

 ニャンドゥティは、300年ほど続く糸の芸術とも呼ばれる伝統工芸品。布に針を刺してクモの巣が広がるように刺しゅうし、完成品は布がなくレースのように仕上がる。代表の千森麻由さん(40)は「まず知ってもらうことが大切」と来場を呼びかける。

 千森さんは料理人として食文化を学ぶため、29歳の時に1年をかけて65カ国を旅した。その道中にニャンドゥティと出合い、その美しさに衝撃を受けた。「近所の女性が集まって井戸端会議のようにぺちゃくちゃしゃべりながら作っている姿」にも引かれ、のめり込んだ。

 2011年から7年間、毎年パラグアイを訪問して現地の職人から技術を習得し、腕を上げた。さらに、職人の高齢化や後継者不足、低賃金で深刻な編み手不足になっている現状も知り、普及活動を決意した。

 今回は現地の職人による極細糸の芸術作品を交えた約100点を展示。職人の現状を伝えるパネル展や体験会も予定している。また、体験コーナーでの売り上げは「少しでも現地の人たちの生活向上につながれば」とパラグアイ支援団体に寄付する。

 13年にアカデミーを立ち上げて以来、「針が苦手でも隙間時間で簡単に作れる」と徐々に認知度はアップ。手芸やアクセサリー作品で作家デビューを飾った人もいるなど、千森さんは関西の第一人者として技術を伝えている。「10年目で初めての展示会。これからは年に一度、開催できれば」と意気込む。

 大阪駅前第2ビル5階生涯学習センターギャラリーAで、午前10時から午後8時(14日は同4時まで)。問い合わせは電話080(4983)8383、メールinfo@nanduti.jp

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