【角田裕毅F1第5戦分析】前日以上のアンダーステア。スタビリティは改善も、フロントの回頭性に悩まされ17番手

「まだ時間は残っているので、できるだけ改善するよう策を練りたい。もしかしたら、違うアプローチをとるかもしれない」と、18番手に終わったF1第5戦マイアミGP金曜日のフリー走行後に語っていた角田裕毅(アルファタウリ)。土曜日に向けて、セットアップを大きく変えて臨む決断を下した。

2023年F1第5戦マイアミGP金曜日 角田裕毅(アルファタウリ)

 しかし、土曜日の午後12時半から始まったフリー走行3回目では「アンダーステアがひどい」と無線で言うほど、クルマのバランスに苦しんだ。

「(アンダーステアは)昨日よりもひどかった。でも、それはみんな同じだと思うんで……」と語る角田によれば、その原因は「路面が改善してタイムも上がって、みんなプッシュするのでタイヤがオーバーヒートしやすくなったから」だという。

 もうひとつ、この日の角田がアンダーステアに悩まされた要因として考えられるのが、金曜日の夜に行ったセットアップ変更だ。金曜日に低速コーナーでのスタビリティ(安定性)に悩まされた角田は、土曜日は低速コーナーでのスタビリティは改善されたと語った後、こう続けた。

「(スタビリティは)改善されたけど、(速く走るには)スタビリティだけじゃないんで。ローテーション(フロントの回頭性)も必要だったので……」

 つまり、リヤのスタビリティを上げた結果、今度はフロントが入りにくいクルマとなったのではないか。

 マイアミGPの舞台となるマイアミ・インターナショナル・オートドロームはセクター1に多くの中〜高速コーナーがあり、フロントの回頭性が重要となる。そこで曲がりづらくなっていたマシンで走った角田のフロントタイヤはグリップ力が落ち、セクター2でアンダーステアがひどくなったのではないか。

 角田はQ1の2セット目のタイヤでの最初のアタックではセクター1からセクター3まで全て自己ベストを更新したものの、タイムはチームメイトのニック・デ・フリースよりも遅い1分28秒456にとどまった。

 これではQ1は突破できないと考えたのだろう。最後のアタックではセクター1だけで自己ベストをコンマ2秒上回る29.609秒で通過した。酷使された角田のフロントタイヤはセクター2で悲鳴を上げ、今度はセクター2で自己ベストをコンマ2秒も下回ってしまった。

 セクター3で自己ベストを100分の3秒上回り、最終的に自己ベストを100分の3秒更新するラップを刻んだものの、2セット目のタイヤの最初のアタックでコンマ1秒以上速いタイムを刻んでいたデ・フリースには届かず、17番手に終わり、Q1敗退となった。

2023年F1第5戦マイアミGP 角田裕毅(アルファタウリ)

 しかし、土曜日と日曜日ではクルマに求められる要素が異なる。1ラップのタイムを競う予選はフロントがいかに入るかが重要だが、ロングランとなるレースはリヤタイヤのスタビリティが大切となる。

「明日どうなるのか、ですね。みんなあまりロングランをできていないので。また新しい1日です」

 そう言って角田は、日曜日のレースへ気持ちを切り替えていた。

2023年F1第5戦マイアミGP 角田裕毅(アルファタウリ)

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